「健康的に映る“野菜依存症”のワナ」 数々の著名人の食生活を採点してきた管理栄養士が明かす「理想の食卓」

ドクター新潮 ライフ

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「葉っぱにこだわらなくていい」

 確かに、ホウレンソウや春菊、小松菜などの葉物野菜で、国が推奨する350グラムを取るのは難しい。

「自分の畑で採れるものを食べている人は別にして、都会で生活する人たちにとって、野菜は季節や気候の変動で家計を揺るがすほどの値段になることがあります。調理もゆでてから水にさらしたり、あえたりと、面倒くさい」

 そこで荒牧氏が勧めるのは、野菜に匹敵する栄養がある海藻、キノコ、豆類、雑穀などの植物性食品だ。

「それらをきちんと取れば、葉っぱにこだわらなくてもいいと思うんです。サラダバーに並んでいる野菜は栄養的に見ればほとんどが水分で、シャキシャキした食感、彩りのテクスチャー(質感)で食べたという満足感がある。それよりは、もずくの酢の物とか、キノコ類をみそ汁や煮物に加えて食べてください」

果物の重要性

 その他に荒牧氏が積極的な摂取を推奨するのが果物全般で、毎日食卓にのせてほしいという。

「ブドウ、イチゴ、オレンジ、プルーンなど、色の濃い果物にはとても大事な成分が含まれています。食物繊維やビタミンC、カリウムが豊富な果物には、さまざまな機能性があって、特に人体の免疫に関係していることが分かっています」

 2004年、アメリカのリチャード・アクセル博士とリンダ・バック博士は「匂いの受容体遺伝子の発見」で、ノーベル生理学・医学賞を受賞。嗅覚の生理の謎を解明するための突破口となった研究である。

「匂いの通り道がとても大事で、鼻の中にある受容体が感知して、まず脳に行き、それから内臓など体全体に情報が伝わっていく。免疫を強化させるための香りを感じるには、果物やハーブ類が一番手軽なんですね」

 低評価者の中には果物をほとんど食べていない人がいて、特に若い男性に多い。野菜を取っているから大丈夫と安心しているのだ。

「果物と野菜は機能性から考えたら全く違う。免疫という働きは目に見えない体内で起こっています。私が毎回コラムで、季節の新鮮な果物を勧める理由は、この働きを活用してほしいからなんです」

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