「健康的に映る“野菜依存症”のワナ」 数々の著名人の食生活を採点してきた管理栄養士が明かす「理想の食卓」
低評価の理由
食べる量は人によって異なるが、元気な高齢者には食欲旺盛な人が多い。
「90歳で今も活躍してらっしゃる黒柳徹子さんは、食事量がすごいと仰っていますね。1日に1回は若い人たちと食卓を囲んで、同じものを食べる。それにはお肉をしっかりかめる歯が必要で、きちんとお手入れされていると思います」
荒牧氏が長寿の人たちの共通点に挙げるのが、若い世代との交流だ。
「年寄りは、一人でボソボソ食べることが多くなるんですが、若い人たちと一緒なら、つられて同じものを食べたりしますでしょ。ともに百寿者となった双子のきんさんぎんさんはカレーが大好物だったそうで、家族みんなで食べると食欲が増すんですね。共食の効果は大きい」
一方で、大幅な改善が必要とされる低評価を受けた人も相当数いる。
安藤なつ、井上和香、道端ジェシカ、鳥居みゆき、中島らも、デューク更家、秋山仁ら。フードファイターのもえのあずきにいたっては採点不能である。
低評価の理由はさまざまで、毎日同じものしか食べないという極端な偏食、カロリーオーバー、栄養不足に近い少食、ヘビーな喫煙、飲酒などなど。
「日記を読むと、食文化とか食生活に関心がない。どこでも学んでこなかったという印象を受けます」
“野菜依存症”
高評価と低評価の中間層に多々見られるのが、野菜を中心とした献立だ。中でも青菜が多く、健康的に映るが、荒牧氏はこれを“野菜依存症”と呼ぶ。
「野菜好きを自慢していた方もおられましたが、実は1日にどれだけ野菜を摂取するべきかというエビデンスはないんですよ。厚労省は1日350グラムの摂取を呼びかけ、農水省も緑黄色野菜を推奨していますが、農業政策上そうなっているのだろうと思っています」
世界的に見ると日本の1日の平均野菜摂取量は約291グラムでランキング10位。第1位は中国の767グラム、ギリシャ659グラム、韓国585グラムと続く。
しかし、これには数字のマジックがある。
「アメリカもそうですが、ギリシャとかイタリア、スペインなどは重さのある野菜の芋やトマトを多く食べているんです。トマトひとつが約200グラム、ジャガイモが約150グラム近くありますから、これだけで日本の野菜摂取量を超えてしまう。日本は葉っぱみたいなものを沢山食べなくてはいけないと思っている人が多くて、本当に取らなくてはいけないものを分かっていない」
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