静岡県知事選で茂木幹事長が不可解な動き…小渕選対委員長は呆れ顔で「推薦出ちゃったよ」
政権の命運を左右しかねない静岡県知事選が5月9日に告示された。26日の投開票に向け、6人が立候補したものの、事実上、与野党候補者の一騎打ちとなっている。その陰で「ポスト岸田」を狙う茂木敏充・自民党幹事長の言動が注目を集めている。
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「党本部として推薦を出すかどうか」
今回の県知事選は地方選とはいえ、岸田政権にとって重要な選挙となる。
先月28日に行われた、3つの衆院補選は不戦敗も含め、3戦全敗。岸田政権の低迷ぶりを白日の下にさらすこととなった。
政治部デスクが解説する。
「この静岡県知事選で自民党が推薦した候補が敗れることがあれば、補選と合わせ4連敗となります。菅政権では2021年春の衆参3補選で全敗し、さらに夏に行われた地元の横浜市長選でも敗れ、求心力が急速に低下。政権瓦解の一因となった。岸田政権がそれと同じ轍を踏む恐れがあると、党内では言われ始めています」
そのため、今回の知事選で焦点となったのが「自民党が党本部として推薦を出すかどうか」であった。
今回、立憲民主党と国民民主党は4月の段階で立候補を表明していた前浜松市長の鈴木康友氏への推薦を決めている。ところが、自民党は告示直前になるまで、党本部の推薦が決定しなかった。一体それはなぜなのか。
突破口を作った茂木幹事長
自民党静岡県連は4月23日、「政策が評価できる」として、元県副知事の大村慎一氏への推薦を党本部に上申していた。しかし、党本部推薦に難色を示していたのは官邸と党幹部だった。
「自民党の情勢調査では10ポイント以上も鈴木氏に離されていて、数字が悪かった。できれば、自民党本部も鈴木氏に乗っかって、『オール静岡』でいきたいというのが本音でした。しかし、地元から『大村推薦』が上申されてしまい、それは難しい。そこで、『党本部の推薦は出さない』ということが検討されていました」(同)
岸田文雄総理も対応に頭を抱える中、突破口を作ったのは茂木幹事長だった。
自民党関係者が言う。
「4月下旬から5月上旬にかけて行われた調査では当初よりも、鈴木さんと大村さんの差が縮まっていたんです。数ポイント差にまでなったことで、茂木さんが“党本部の推薦を出すべきだ”として、官邸や党幹部を説得していたんですよ。ただ、それは大村さんが追い上げているというよりは、先月25日に共産党候補が立候補を表明したことで支持が分散しているだけ、という見方もできたのですが……」
5月7日昼、岸田総理は自民党本部で元宿仁・党本部事務総長や茂木氏と会談。さらに同日の15時にも、総理と麻生太郎副総裁、茂木氏で話し合いの場がもたれている。
結果、告示前日の8日になって、党本部の推薦が決定したのだ。
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