高校時代に父親の愛人を好きになってしまった…43歳男性が“両親は世間の常識からかけ離れたところで生きている”と感じた瞬間とは

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 かつて既婚男性と不倫していた独身の女性が、「このままだと私ばかり我慢しなければいけない。だから彼に別れ話をしたら『大事なのは妻だけど、愛しているのはきみなんだ』と泣かれたの」と涙ながらに語っていたことがある。このふたりは結局、20年近くつきあい、男性の急逝という形で、その関係の幕が閉じられた。そういう関係もあるのだなとつくづく思ったことがある。

「僕も実は、同じことを女性に言った経験があります」

 松薗晋也さん(43歳・仮名=以下同)は「本音を言えばそういうことなんですよ」と苦笑した。それを言ったら元も子もないのだが、つられて笑うしかない。

「僕はもともと結婚には向いていないと自分で思っていました。オヤジが浮気三昧の男で、小さいときからオヤジに連れられて愛人のもとへ行ったりしていた。オヤジのアリバイ作りに加担させられていたわけです。高校生のとき、オヤジの愛人を僕も好きになってしまったことがある」

 今の自分よりもう少し年上だった父とつきあっていたのは、30代半ばくらいの女性だった。暁子さんという名前だった。今でも鮮明に覚えていると晋也さんは言った。

「オヤジは変な人で、つきあう女性が変わると紹介してくれるんですよ。僕が高校2年の夏、オヤジは暁子さんと僕を喫茶店で会わせた。暑い日でね、喫茶店でアイスコーヒーを頼んだのを覚えています。あんなに暑かったのに、暁子さんは汗ひとつかかず、ノースリーブのワンピースを着て涼しい顔でやってきた。コーヒーをホットで頼んで煙草に火をつけて……。オヤジは『暁子ちゃんはいい女なんだよ』と僕に自慢するんです。でも暁子さんは『こんなことばかり言ってるの。私、あなたのおとうさんに騙されてるんだよ』と笑っていた。なんだか初めてみる大人の女という感じで、僕は呆然と彼女を見ていたような気がします」

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