「平均で33万円課金」あなたの子どもは大丈夫? ゲーム依存の前兆と防ぎ方とは

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どうすれば依存を防げるのか

 とはいえ、現代社会において、一切、オンラインゲームをさせないというのも難しい。では、子どものゲーム依存を防ぐためにはどうすればよいか。

 私の経験上、ゲーム依存には子どもが育つ環境も大きく影響しているように思います。例えば、小さな頃からネットを自由に使える環境にあったとか、家族の中にオンラインゲーム好きがいるとか、そういうところが入口になっているケースも多い。最近は、ベビーカーに乗っているような年齢からスマホを子どもに渡して動画を見せている親もいます。子どもをおとなしくさせるためスマホ動画に頼らざるを得ないときがあるのは分かりますが、将来におけるリスクはきちっと認識しておくべきです。

 また、スマホやゲーム機を購入する際には、必ずお子さんと話し合ってルールを決めるようにして下さい。大切なのは「守れるルール」にすること。曜日によってゲームをしていい時間を変えたり、手伝いや宿題など条件によって時間を変えたりすると、ルールが複雑になって大抵うまくいきません。それよりは「何があっても夜何時以降はスマホを触らない」とか「ゲームは毎日何時まで」とシンプルなほうが、子どもは守りやすいでしょう。

親への不満

 当然ですが、親子で決めたルールは親も守るべきです。少しでも「例外」を作ってしまえば、そこからルールはなし崩しになってしまいますし、親と子の信頼関係にも響きかねません。

 ゲーム依存の子の話を聞いていると、親への不満をよく口にします。「親が聞く耳をもたない」とか「一方的なルールを押し付けられる」とか、多くはコミュニケーション不足によるものです。それに、依存症になる子どもたちは、対人関係が苦手で親や友人との関係がうまくいっていないケースも多いようです。

 もし、ゲームの過剰使用など、お子さんに依存の兆候が認められるなら、一度子どもとの関係を見つめ直してみるのもいいのではないかと思います。

樋口 進(ひぐちすすむ)
久里浜医療センター名誉院長・顧問。精神科医。2011年に久里浜医療センター院長に就任し、ネット依存治療専門外来を設立。インターネットやギャンブル、アルコール依存症の診療に携わる傍ら、うつ病、パニック障害、統合失調症等の一般精神疾患も幅広く診療する。22年4月より現職。『心が壊れる「ゲーム依存」からどう立ち直るのか』など著書・監修多数。

週刊新潮 2024年5月2・9日号掲載

特別読物「親に無断で小中高生が『平均33万円課金』 12歳以下急増『ゲーム依存症』をどう防ぐか」より

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