「平均で33万円課金」あなたの子どもは大丈夫? ゲーム依存の前兆と防ぎ方とは

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パチンコと同じ光景

 さらに、これもギャンブルとよく似ているのですが「ここまで課金したら、もう後には引けない」という気持ちになることも多いようです。よくパチンコで負けが込んでいる人が「負けた分はパチンコで取り返すしかない」と底なし沼にはまり込んでしまいますが、オンラインゲームのガチャでは、それと非常に似た光景が繰り広げられているのです。あるとき、うちの病院で調べると、オンラインゲーム依存の患者さんの中で「課金の経験がない」という人は一人もいませんでした。それくらい、ガチャには依存に結び付くリスクがあるのです。

「小学生の子どもたちがどうやって何十万円も課金するのか」と疑問に思う方もおられるでしょう。高額課金をしてしまう子の多くは、両親のクレジットカードを使用したり、祖父母にねだったりして課金をするケースが多いようです。クレジットカードを子どもに渡していなくとも、カード番号と氏名、裏面のセキュリティコードさえ入力すればオンライン決済は可能ですし、一度親の許しを得て決済したときのカード情報が自動保存されているケースもあります。

子どもの依存症治療には多くのハードルが

 スマホやゲーム機の設定で制限をかけることもできますが、ネットに詳しい子どもなら少し調べて自力で解除してしまう。そうして決済を繰り返し、後日、高額請求を目にした親がようやく子どものゲーム依存に気付くことも多々あります。

 さらに、低年齢でのゲーム依存では、治療が難しいという問題も指摘できます。先ほど「否認の病」の話をしましたが、ゲーム依存の子どもの中には「否認」以前に、そもそも何が悪いのかを理解していない子もたくさんいます。場合によっては「親が何とかしてくれるだろう」と安易に開き直っているケースもある。そういう子は、治療によって症状を改善しようというモチベーションが欠落してしまっていることも多いのです。また、そうでなくとも治療に使われる認知行動療法のプログラムが難解で理解できないなど、子どもの依存症治療には多くのハードルが存在します。

 このような理由から、子どものゲーム依存は治療に長い時間がかかることも珍しくありません。そうすると、その分「学校に通えない」とか「友人関係を築けず引きこもる」といったトラブルも長引くことになってしまう。人生の早い時期にこうしたつまずきを経験させないためにも、子どものゲーム依存は予防するに越したことはないのです。

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