「酸っぱいものでむせる」「料理のにおいが分からない」は何の病気のサイン？　自分でできる「健康診断法」をプロが伝授

激しい痛みがあれば救急車を

　一方「体の左側に突然激しい痛みを感じる」場合は、心筋梗塞を疑いましょう。心臓に酸素と栄養を届ける血管が詰まって起こる心筋梗塞ですが、約20分後には心臓の細胞の壊死が始まり、詰まった血管を6時間以内に広げなければ命にかかわります。心筋梗塞は必ず心臓が痛くなるとは限らず、左あごから左肩、左わき腹にかけて、どこが痛み始めても不思議はありません。狭心症は安静にしていれば治まりますが、そうでなければ心筋梗塞です。

　また「胸から背中にかけて刺すような痛みが走り、体中に広がっていく」なら大動脈解離の可能性があります。大動脈解離は体で一番太い動脈が裂ける病気。その痛みは半端ではなく、治まることもありません。さらに大動脈の弱ったところにできる瘤である大動脈瘤の破裂が起こると、大量の出血により1～2分で意識を失います。大動脈解離も大動脈瘤の破裂も目立った前兆はありません。従って、今までにない激しい痛みを感じたときには、即座に救急車を呼んでください。心臓と脳の病気は一刻を争いますから、遠慮している暇はないのです。

　命にかかわる病気も、そうでない病気も、早期発見するに越したことはありません。あとあと後悔しないためにも、体からのSOSは見逃さないようにしたいものです。

秋津壽男（あきつとしお）
総合内科専門医／秋津医院院長。1954年和歌山県生まれ。東京労災病院等の勤務を経て、98年に東京・戸越銀座に秋津医院を開業。下町の一次医療を担う総合内科専門医として絶大な支持を集める。現在、「主治医が見つかる診療所」（テレビ東京系）にレギュラー出演中。『放っておくとこわい症状大全』など著書も多数。

週刊新潮 2024年5月2・9日号掲載

特別読物「GWに総点検 “その症状”の裏には“あの病気”が!?　総合内科の達人『ドクター秋津』が伝授　『セルフ健康診断』」より

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