「酸っぱいものでむせる」「料理のにおいが分からない」は何の病気のサイン? 自分でできる「健康診断法」をプロが伝授

ドクター新潮 ライフ

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さまざまな種類の腹痛

 最後は「痛み」です。痛みは比較的分かりやすい不調のサインですが、痛みと病気の相関を知っておくと、大きな病気を見落とさずに済みます。

 まずは「腹痛」です。一言で腹痛と言ってもさまざまですが、例えば「油ものを食べたときだけ、右わき腹が痛む」場合は胆石が疑われます。胆石は特に悪さをしないなら放っておいてもよいのですが、胆石が胆のうや胆管に入ると痛みが出ます。胆管が完全に詰まり、胆のうや胆管がパンクして破裂すると、腹膜炎によって命を落とすこともありますから、注意が必要です。

 また「脂汗が出て七転八倒、意識を失いそうになるくらいの強い腹痛」が起きたときは、すぐに救急車を呼びましょう。急性腹症と呼ばれるこのような痛みの原因はイレウス(腸閉塞)や急性膵炎、急性虫垂炎などさまざま。急性腹症は命にかかわる急性腹膜炎に発展しかねず、大変危険です。

 ところで、普通の健康な人に突然40度近い高熱が出たら、インフルエンザか腎盂炎、重度の扁桃炎、急性前立腺炎のどれかを疑います。このとき、「腰をたたくと飛び上がるほど痛い」なら、ほぼ間違いなく腎盂炎です。この病気では、腎臓の内側にある、尿をためるスペースの腎盂に雑菌が入り込み、強い炎症が起こります。放っておくと全身に菌が回って敗血症になったり、腎臓の機能が低下して人工透析が必要になったりしますから、速やかに病院を受診してください。

腰痛はうつ病からくることも

 それから、「原因が全く思い当たらず、慢性的な腰痛がずっと続く」場合は、心因性の痛みも考えられます。最近分かり始めたことですが、腰痛の中にはうつ病からくるものも多いのです。腰痛といえば、ぎっくり腰やヘルニアを疑いがちですが、別の病気が隠れている可能性があることも頭に入れておいてください。

 続いて「軽い運動で左胸が痛む」のは、狭心症の恐れがあります。この症状は「少し休めば治る」ことも多いのですが、それは安心材料ではなく危険な兆候です。狭心症は動脈硬化によって心臓の血管が狭くなり、血液や酸素がうまく心臓に送られなくなった状態。安静時には何ともなくとも、急に駅の階段を駆け上がったりすると、狭くなった血管が酸素を十分に送りきれなくなり、心臓のある左側にウッと締め付けるような痛みが走ります。狭心症が引き金となって心筋梗塞が起こるケースも多々あり、年配の方がセックスで腹上死する原因の多くも、狭心症からの心筋梗塞だといわれます。また、狭心症は心不全とよく似ていますが、胸が痛む狭心症に対し、心不全では息切れが現れます。

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