「酸っぱいものでむせる」「料理のにおいが分からない」は何の病気のサイン? 自分でできる「健康診断法」をプロが伝授

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「暑がりになった」「寒がりになった」は何のサイン?

 また「急に暑がりになった」とか、逆に「寒がりになった」と感じる方は甲状腺の機能に異常が生じているのかもしれません。甲状腺ホルモンは別名「元気ホルモン」と呼ばれ、体の新陳代謝を調整したり、心拍数を上げたり、交感神経に働きかけて体温を上昇させたりします。暑がりになったと感じる場合、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまうバセドー病の可能性があります。この病気は必要以上に元気ホルモンが作られるため、体が常にエンジン全開で、脈拍が速くなって疲れやすく、精神的にも不安定になります。一方、寒がりになった場合に疑われるのは、元気ホルモンが作られにくくなる甲状腺機能低下症です。活力が出ず、無気力になってしまうことから認知症やうつ病と勘違いする方も多いようです。このため、甲状腺機能低下症は「治る認知症」とも呼ばれます。

痰の色で分かること

 また、日常生活で痰が出る人もいるでしょう。痰は健康な人でも必ず出ますが、知らずに飲み込んでしまうため、存在を意識しない方も多いもの。ただ、痰が透明から色付きに変わってきたら要注意です。「痰の色が少し黄色っぽい」場合は気管支炎、「緑色っぽい色」だと肺炎を疑います。これがさらに悪化すると「血液が混じった鉄さび色」に変わり、より重症度が高くなります。きれいな透明の痰に赤い血筋が混じる程度なら、咳のし過ぎなどで喉に傷がついただけの可能性が高く、あまり怖くはありません。

 ただ、「鮮やかな赤い痰が塊で出てきた」場合は肺がんの疑いが濃厚です。このように口から血を吐くことを一般に「吐血」と言いますが、医学的には「吐血」と「喀血(かっけつ)」の区別があります。吐血は食道や胃、十二指腸からの出血でチョコレート色をしていることが多く、疑われるのは胃や十二指腸の潰瘍、がんです。一方、喀血は気管や肺からの出血で、真っ赤な鮮血が出ます。気付きにくく、転移しやすいため肺がんは難治性といわれますが、早期発見すれば治りやすいのです。胸部レントゲンさえ撮れば初期の小さながんでも発見できますから、肺がんは「検診をやらないと損ながん」です。

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