「酸っぱいものでむせる」「料理のにおいが分からない」は何の病気のサイン? 自分でできる「健康診断法」をプロが伝授
「料理のにおいがわからない」は認知症のサイン
一方「料理のにおいが分からなくなった」という人は認知症の疑いがあります。嗅覚障害は認知症のごく初期に現れる症状だからです。「モノ忘れ」と認知症の違いは、ヒントがあれば思い出せるかどうか。例えば、前日の夕食を思い出せなくても、「ほら、中華料理のアレ」とヒントをもらって答えられれば単なるモノ忘れです。ヒントをもらっても思い出せなかったり、「昨日? 夕食食べたかな?」となる場合は認知症が疑われます。
それから「最近、なんだか無性に喉が渇く」と感じる方は糖尿病かもしれません。糖尿病は、糖のコントロールがうまくいかず、血中に糖が増えてしまう病気です。糖には水分を吸い寄せる性質があり、そのせいで体が脱水気味になって喉が渇くのです。糖尿病を放置すると、失明や人工透析、脳梗塞、心筋梗塞などさまざまな不具合が起こります。
階段を上って心不全などをチェック
普段の生活の中でも健康状態は確認できます。
例えば「普通に歩くだけでも息が苦しくなる」のは、心不全の疑いがあります。心不全では、うまく酸素を全身に送ることができず、悪化すると外出できなくなったり寝たきりになったりすることも珍しくありません。自分が心不全かどうか気になる方は、比較的緩やかに造られているデパートの階段などを使って、4階までゆっくり上がってみてください。ゆっくりでも2階や3階で一息つかなくてはならないようなら、心不全が疑われます。なお、4階まで休まず上がれるものの、息が上がってしまう人は運動不足もしくは不摂生です。
また「歩くと一方向に傾く」「ろれつが回らない」という症状は脳梗塞のサイン。脳の血管に起きる緊急事態を総称して「脳卒中」と言い、血管が詰まる「脳梗塞」、動脈瘤が破裂する「くも膜下出血」、血管が破れる「脳出血」に分類されます。このうち、くも膜下出血と脳出血は激しい頭痛を伴いますが、脳梗塞ではあまり頭痛が起こりません。痛みが少ない分、いかに早く前兆に気付けるかがカギを握るのです。ポイントになるのは、体の片側だけの異常。脳の病気は体の半分に症状が出るという特徴があるため、歩くと一方向に傾いたり、舌がどちらか一方に曲がってろれつが回らなくなったりするのです。「少しおかしいかも?」と思ったときには「バレーサイン」という判断法を試してみてください。まず両目を瞑り、手のひらを上にして両腕を前に伸ばし、その状態を10秒キープします。10秒後に目を開け、片腕だけが下がっていたら脳のトラブルの可能性があります。
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