「酸っぱいものでむせる」「料理のにおいが分からない」は何の病気のサイン? 自分でできる「健康診断法」をプロが伝授
口と喉のチェック方法
次は口を大きく開けてみましょう。「口や舌の粘膜に白い斑点や膜ができ、こすっても取れない」場合、口腔がんの前兆「白板症」の可能性があります。症状は一見、口内炎によく似ていますが、最初はそれほど痛みがありません。ただ、なかなか治らないのが特徴で、その分修復が繰り返されてがん化しやすいのです。
今度は喉の奥を見てみましょう。のどちんこの両脇に桃の種のような形でくっついているのが扁桃腺です。この扁桃腺が腫れるのが扁桃炎で、悪化すると白く汚いカスがたくさん付着します。扁桃炎は「風邪をこじらせたもの」くらいに思っている方も多いのですが、放っておくと腫れた扁桃腺が真ん中でくっついて呼吸困難に陥り、死に至ることもあるのです。少々の風邪なら市販薬などで自己治療する方も多いと思います。それ自体は問題ありませんが、1週間たっても症状が引かない場合は病院にかかった方がいいでしょう。
「酸っぱいものにだけむせる」は要注意
食事も「セルフ健康診断」の絶好の機会です。
まず「口が開けづらい」「顎が疲れる」といった症状がある場合、破傷風の可能性があります。破傷風を引き起こす破傷風菌は土の中などに高確率で存在する身近な細菌。手に傷などがあると、ガーデニングだけで感染することもあるくらいです。普段は感染してもそうそう発症には至りませんが、免疫力が落ちているときは要注意。感染後、数日~20日ほどで症状が出始め、放っておくと突然の心停止を起こすなど一気に重篤化し、命にかかわります。
次に「酸っぱいものにだけ異様にむせる」という方は、食道がんか咽頭がんの疑いがあります。食道がんも咽頭がんも初期には分かりにくく、発見が遅れると予後が悪い厄介ながんです。初期には刺激性の強い酸っぱいものにだけ敏感に反応してむせるのですが、進行するとどんなものにもむせたり、食べ物がつかえる感じが出てきたりします。
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