「酸っぱいものでむせる」「料理のにおいが分からない」は何の病気のサイン? 自分でできる「健康診断法」をプロが伝授

ドクター新潮 ライフ

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 一度自分の健康状態を総点検してみるのはどうだろうか。テレビでおなじみ、総合内科専門医の秋津壽男氏が紹介する、自宅で気軽に取り組める「セルフ健康診断」。

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肝臓を休ませるコツ

 セルフ健康診断は、朝、起きたところから始めましょう。

 まずは「しっかり寝たはずなのに疲れが残っている」なら、肝臓に問題がある可能性があります。体中のごみを分解、解毒する肝臓を酷使すると、ごみ処理が追い付かず、疲れやだるさとして現れます。そのままフル稼働を続ければ、いつかはパンクして肝炎や脂肪肝、そして肝硬変、肝臓がんへと進行してしまう可能性もあります。肝臓を休ませるコツは「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」を控えること。アルコールはもちろん、ダラダラと食べ続けると肝臓が働き続けることになります。

 次に足を見てみましょう。もし「足がむくんでいる」と感じたら、腎臓が悲鳴を上げているのかもしれません。夕方の足のむくみは、重力によって体内の水分が足に集まっているだけなので心配いりませんが、朝起きてもまだむくんでいるなら、体内の水分を調整する腎臓の機能が弱っているサインです。腎臓が疲れるのは、塩分の取り過ぎが原因です。腎臓に問題があると、目の下のクマや倦怠感、皮膚のカサカサが現れることもあります。突然このような症状が現れ、それが何日も続くようなら、急性腎不全の恐れもあります。

 それから「朝になると指の第2関節が腫れる」という方は関節リウマチの可能性が高い。受診する病院はリウマチ科がお薦めですが、一般の内科でもリウマチが得意な先生はいます。見分け方は、看板に掲げられた診療科目の並び順。「内科、呼吸器内科、循環器科……」など複数の診療科が書かれているなら、2番目に書かれているのがその先生の本来の専門です。「内科・リウマチ科」と書かれていたら、リウマチが得意な先生といえるでしょう。

思い当たる節がない肌荒れの原因

 今度は鏡の前で、顔や体を観察してみましょう。

「思い当たる節がないのに、最近、肌が荒れてきた」場合は、腸内環境が悪化しているのかもしれません。腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が多くなると、臭いガスが腸内にたまります。その一部が皮膚まで届き、肌荒れの原因になるのです。腸内環境の悪化を放置すると、免疫力が低下して風邪をひきやすくなったり、腸壁が荒れて大腸がんを引き起こす恐れもあります。

 また、腸内環境が悪化し免疫力が下がると「歯茎が腫れる」ことも。健康な歯茎はピンク色でシュッとしまっていますが、もし赤く腫れてきたら体の不調のサインです。

 一方「口の端が荒れる口角炎」や「口の中が荒れる口内炎」が長引く場合は、胃の不調を疑ってみてください。胃の不調を放置すると胃炎や胃潰瘍、胃がんに至る恐れがあります。なお、市販の胃薬を服用する場合は、種類に注意してください。空腹時に胃が痛むのは胃酸過多なので、胃酸を抑える胃薬を。食後に胃がもたれるなどの不快感がある場合は、胃の働きを促すタイプの胃薬を選びます。

 続いて、ご自身の手のひらを見てみましょう。もし「手のひらがかぼちゃの煮物のように黄色っぽくなっている」なら、肝臓の不調を知らせる「黄疸(おうだん)」の症状かもしれません。肝臓は沈黙の臓器。不調があってもなかなか症状に現れないため、貴重な危険信号を見逃さないようにしてください。

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