「観光公害」は続くよいつまでも 「朝8時前からいろんな言語が非常にうるさい」とこぼす住民も

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駅から徒歩20分でも「ローソン越しの富士山」に人だかり

 一方、河口湖では、「ローソン越しの富士山」の新たな撮影スポットとして、「ローソン富士河口湖町役場前店」が浮上。あまりの殺到する観光客の迷惑行為に“黒い幕”で対抗したことで話題を呼んだ「ローソン河口湖駅前店」と比べると、こちらは駐車スペースが広々。通りを渡らずに撮影できるため、今のところ大きなトラブルは起きていない。駅から徒歩20分とやや遠いが、早くも大型観光バスやミニバスが頻繁に出入りしている。

 それでも、「この先ここが有名になれば、交通渋滞や事故が起こるのでは……」と近隣住民。鎌倉同様、大量の観光客が駅前のローソンから、もう一軒のローソンに移動しただけで、根本的な解決には至っていないのだ。

 もともと観光ビジネスで稼ごうとしているわけではない地域住民の中には、こうした状況はまさに「観光公害」だと受け止める向きも少なくない。そして行政にはこれといった対応は期待できないようである。

 観光は成長産業であり、経済波及効果は大きく、地域を活性化する――「観光立国」を唱える政府はこうした主張を繰り返している。しかしその恩恵にあずかる住民はどのくらいいるのだろう。「経済効果」「国際化」といったお題目を前に彼らは沈黙しなければならないのか。騒音や人混みを不快に思ったり、不安を感じたりするのは時代遅れなのだろうか。

撮影・西村 純、福田正紀

週刊新潮 2024年5月16日号掲載

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