「ナッツ姫」が6億円マンションを差し押さえられていた 「ナッツ・リターン」事件後の“凄絶転落人生”に迫る

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家庭内暴力で…

 そんなさなかの19年4月、グループにワンマン会長として君臨していた父親が70歳で急死する。“瞬間湯沸かし器”ばかりのファミリーにお家騒動が勃発するのも必然の成り行きだった。

「父親の跡を継いで実権を握ろうとした弟にナッツ姫が『父の遺志に反する』と反発。株主を巻き込む大闘争に発展しましたが、ナッツ姫は母親と妹を味方につけた弟側に惜敗。父親の一周忌にも顔を出さず、家族との関係にも亀裂が入ってしまいました」

 実は、ナッツ姫がお家騒動を起こしたのには切実なワケがある。それは、高額な相続税の問題だった。

「父からの相続にかかった税額は合計2700億ウォン(約270億円)ともいわれ、ナッツ姫一人だけでも600億ウォンに及びました。当然、一括で支払うことはできず分割払いになりましたが、それでも年間の支払い額は相当なもの。彼女が相続税を支払うためには、会社で要職につき、高額報酬を得るしか道はなかったのです」

 立ちはだかった困難は相続税だけではない。

「ナッツ姫は10年に小学校の同級生だった美容整形外科の院長と結婚。双子の男の子をもうけましたが、18年にこの夫から離婚訴訟を起こされたのです。原因は彼女の家庭内暴力。耳を塞いで嫌がる子どもを、ナッツ姫が英語で叱りつける動画まで公開され、離婚訴訟は泥沼化しました。極め付きは、夫がナッツ姫を自分への傷害の容疑などで告訴したこと。彼女には罰金の略式命令まで下されたのです」

〈親権は妻に〉〈妻は夫に財産分与として13億3000万ウォンを支払う〉などの条件で離婚が成立したのは22年になってからのことだった。

6億円以上?

 度重なるトラブルから気分を一新するためか、ナッツ姫は20年にお引っ越し。それが今年に入って差し押さえられた高級マンションだった。

「ワンフロアにつき1室のみという富裕層向けのマンションで、購入価格は45億ウォン。寝室が5部屋と三つの浴室があり、専有面積は約245平方メートルという超豪華物件です。人気エリアですから、差し押さえ時には60億ウォン、つまり6億円以上の値がついていたともいわれる。でも、相続税の支払いに加え、度重なる騒動で仕事にあぶれ、元夫には13億ウォンの財産分与。生活はカツカツだと思いますよ」

 昨年7月には「名前が広く知れ渡った」と改名にまで踏み切ったナッツ姫。

 転落人生に終止符が打たれる日は来るか。

週刊新潮 2024年5月2・9日号掲載

特別読物「これぞ世界仰天ニュース 国際版『あの人は今』」より

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