阪神のドラフト方針が正しい?「高卒育成選手」の成功率が10%以下という現実

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ルール改正も視野に

 もちろん、阪神が全て正しいわけではない。しかしながら、近年育成出身で活躍する選手の大半が、大学や独立リーグへ経ている点を考慮すると、阪神の方針は“筋”が通っている。

 短期間で戦力外になったとしても、再びアマチュアで野球をやり直すという選択肢があるが、ここにも大きな問題点がある。一度、ドラフト指名を受けた選手が仮に1年や2年で戦力外となり、勉強し直そうと大学に進学しても、大学野球連盟に所属する硬式野球部でプレーできないルールがある。これは、再チャレンジに向けて、大きな障壁だといえるだろう。

 例えば、育成ドラフトで指名された高卒の選手で、支配下に登録されることなく3年以内で戦力外となった場合、大学野球でプレーできるルールの改正を視野に入れて、議論を深めるべきではないだろうか。一度戦力外になっても、大学野球で活躍し、再びプロへ……。そんな再起へのルートが開かれてもいいはずだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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