阪神のドラフト方針が正しい?「高卒育成選手」の成功率が10%以下という現実

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昨年は11球団が参加

 現在の野球界で見逃せない存在となっているのが育成ドラフト出身の選手たちだ。育成ドラフトは、将来有望な若手選手をプロで育成するという目的で2005年にスタート。当初は各球団ともわずかな指名にとどまっていたが、巨人やソフトバンクなどが三軍制を導入し、そこから主力へと成長する選手が出てきたことで、他球団でも育成ドラフトの活用を含め、ファーム組織を充実させる動きが加速している。

 昨年の育成ドラフトでは、楽天を除く11球団が参加し、合計50人が指名を受けた。その中から中日育成3位の尾田剛樹(BCリーグ・栃木)は開幕前に早くも支配下登録を勝ち取り、足のスペシャリストとして貴重な戦力となっている。

 しかし、活躍する選手にスポットライトが当たる一方で、全く芽が出ずにプロの世界を去る選手が大半なのも事実だ。

 現在、四軍制を導入しているソフトバンクでは、2010年に千賀滉大(現・メッツ)、牧原大成、甲斐拓也が大成功を収めている。しかし、それ以降、ソフトバンクが育成ドラフトで指名した95人の中で、現在も自チームの一軍戦力となっている選手は、石川柊太(2013年育成1位)、周東佑京(2017年育成2位)、大関友久(2019年育成2位)、緒方理貢(2020年育成5位)、川村友斗(2021年育成2位)くらいしか見当たらない。

 大竹耕太郎(2017年育成4位、現阪神)のように他球団で戦力となるケースや、今後、開花する選手が出てくることも考えられるが、それでも“成功率”は10%以下とかなり厳しい。

育成ドラフトで高校生を指名しない理由

 これはソフトバンクに限ったことではない。同様に多くの育成選手を抱えている巨人も、今年一軍で出場した育成ドラフト出身の選手は、松井颯(2022年育成1位)と松原聖弥(2016年育成5位)の2人だけ。

 近年若手が多く飛び出してきているオリックスでも、育成ドラフト出身となると、今年戦力となっているのは、東晃平(2017年育成2位)と宇田川優希(2020年育成3位)に限られる。

 特に苦戦が目立つのが高卒の選手たちだ。千賀、牧原、甲斐を除けば、ここまで名前を挙げた選手のなかで高卒は東しかいない。

 こういった例もあって、阪神は2011年以降、育成ドラフトで高校生を指名していない。嶌村聡球団本部長は、今年1月24日に配信された日刊スポーツのインタビューのなかで、高校生は基本的に支配下で指名する方針を示唆している。

 育成ドラフトで指名される高校生の選手の場合、その大半は将来性を評価してのもの。現在の実力では、プロはおろか大学や社会人でも通用しないという選手が多い。

 そういう選手がいきなりプロの世界に飛び込んでも、その大きな実力差によって失望してしまう。大学、社会人、独立リーグなどでステップを踏んでいけば、才能が花開いた可能性のある選手が、育成でプロ入りしたばかりに、短期間で戦力外となり、野球を続けることを早々に諦める……。これは、野球界全体を考えてもマイナスだ。阪神は、このような理由もあり、現段階では、育成ドラフトで高校生を獲得していないという。

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