消費者庁調査では明かされない健康被害の詳細 「機能性表示食品」6795製品のうち、注意すべき「問題商品」を実名検証

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 5名の死者を出した小林製薬の「紅麹サプリ」は氷山の一角に過ぎない。消費者庁の調査でこれまでに35製品147件の健康被害報告があったことからもそれは明らかだ。水面下にはどれほどの問題商品が隠れているのか。販売中の商品の根拠論文を検証した。(以下は「週刊新潮」2024年5月2日/9日号掲載の内容です)

2023年の市場規模は6800億円

 本誌(「週刊新潮」)が「トクホの大嘘」という特集記事を掲載したのは2017年のこと。トクホ(特定保健用食品)の各商品の“根拠論文”を専門家に徹底的に検証してもらったところ、看過し難い「大うそ」が次々と見つかった――というのが記事の主旨である。一方、「機能性表示食品」制度がスタートしたのはこの記事が世に出る2年前の15年。トクホと機能性表示食品の大きな違いは「国のお墨付き」が必要か否か、である。前者は国の審査が必要で販売は許可制。後者は審査不要で、届け出さえすれば企業の責任で機能をうたえる。

「トクホは曲がりなりにも製品の臨床研究が必須で、販売には消費者庁の許可が必要なため、研究・登録に数千万円単位のお金と時間がかかり、事業者としては手を出しづらかった」

 そう語るのは、トクホや機能性表示食品に詳しいジャーナリストの植田武智氏。

「消費者庁としては、トクホ制度を作れば、一定のエビデンスのある健康食品はトクホの認可を取り、エビデンスの薄い健康食品が駆逐される、と考えていたのですが、そうはならなかった。トクホに登録する企業は行政が予想するよりも少なく、質の低い健康食品は減らなかったのです」

 そんな中、15年にスタートした機能性表示食品は一定程度のエビデンスがあれば国の審査なしで機能性の表示ができるため、企業の参入が相次いだ。読売新聞の記事によると、15年に300億円だったその市場規模は、23年には6800億円と、20倍以上に膨れ上がったとみられている。一方、トクホの市場規模は15年に3700億円だったのが、23年には2600億円まで縮小している。

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