「住友化学」の危機 過去最悪の赤字で4000人リストラ…自民党への企業献金は年間5000万円、トヨタと並んで1位の事情

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2人の経営判断が

 それにしても、住友化学はなぜここまでの経営状態に追い込まれてしまったのか。

「そこには、社長を歴任してきた米倉・十倉の両氏による経営判断が大きく影響しています」

 こう切り出すのは、さる全国紙記者。

「今回の業績不振は、医薬品と石油化学の2つの事業が要因とされています。このうち、後者の主たるものが、『ペトロ・ラービグ』という石油化学プラントの事業です。サウジアラビアの国営企業と合弁会社をつくり、約2兆円もの費用を投じてきた一大プロジェクトなのですが、その旗を振ってきた人物こそ、当時の米倉社長なんです。文字通り“社長肝いり”の目玉事業として位置付けられてきました。しかしながら、収益は安定するどころか、これまでに何度も赤字を計上する始末。それが昨今の市況の悪化によって、大きな損失を生み出すことになったというわけです」

「ラービグ」事業の合弁会社がつくられたのは、2005年。この20年近くもの間、戦略を見直す機会はなかったのか。

「社内でも大きな存在感のある米倉氏が主導したプロジェクトですし、既に巨額をつぎ込んでしまっていた事情もあり、“引くに引けない”状態に陥ってしまったのではないでしょうか。それどころか、米倉氏の2代後の十倉社長時代には、事業の拡大という経営判断をしています。結果的に、この判断が今の赤字幅の拡大に繋がってしまっていることは否めません」

 市況による要因が大きいとはいえ、両氏の経営判断に端を発する赤字であることは、紛れもない事実といえよう。

「十倉氏は、今も住友化学の『代表取締役会長』という立場です。自身も経営責任の一端を担っているはずですが、それでも経団連会長企業として、自民党への寄付は続くのでしょうか。まして4000人のリストラまで発表しているわけですから、常識的に考えればそんなことをやっている場合ではないと思いますが……」

デイリー新潮編集部

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