「突然『ここで脱いだらシュールで良くない』って…」「見つかってたら捕まってた」 手塚理美と川上麻衣子、二人の女優が明かす篠山紀信さん秘話
「ここで脱いだらシュールで良くない?」
撮影中も、沢渡とは異なり、篠山さんは喋りどおし。
「素を撮るというより、眠っているものを引き出そうとしてくる。それも結構強引で、私はそれを押し返す。でも、その応酬が楽しいんですよね。二人はまさに“静”と“動”。私は、“動の紀信さんと組んだらどんな写真集になるんだろう”という好奇心と、“撮れるもんなら撮ってごらん”という少女のいたずら心で、お仕事をお引き受けしました」
沢渡との写真集「少女だった」は海外で撮影されたが、篠山さんのそれは国内各地の四季を織り交ぜつつ1年かけて撮り下ろされた。
「夏は、浴衣を着て田舎の単線列車に乗っていたら、紀信さんが突然『ここで脱いだらシュールで良くない?』って。で、運転士さんの背を背景に裸でつり革を持った写真に。冬は、裸で雪に埋もれて。『雪ってあったかいんだな』と思ったことを鮮明に覚えています」
沢渡に遅れること1年半、篠山さんによる『四色の花火』が世に出ると、大きな話題に。2冊の写真集を上梓した手塚は、これ以降は写真集を出すことなく、女優業にまい進していった。
ドイツの山の中で「走っちゃえ!」
『四色の花火』刊行の翌年、川上麻衣子(58)の写真集『暑い国 夢の国 生まれた国』が発売された。舞台は、バリ島、ドイツ、そして川上の出生地スウェーデンである。
川上は、手塚と同じ事務所に所属していた関係で、篠山さんを紹介される。当初は、スタジオで試し撮りしただけで、写真集出版の予定はなかったというが、
「たまたまドイツにいた篠山さんが、『じゃあここで撮ろう』と言うので、ドイツに行くことに。ただ、私はまだ17歳で、脱がないと決まっていました。ところが、ドイツに行くと、山の中を裸で走り回ることになっちゃって……」
と川上が苦笑する。
「撮影がベッドの上とか、下着姿だったりとか、色っぽい設定だったらやってなかったと思うんですけど、山の中で『走っちゃえ!』と言われて……」
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