オレンジジュースは900ml、1本500円超の時代へ…業界団体が「当分、異常な高騰は続く」という根拠

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当分は高値が続く可能性

 アメリカのフロリダでハリケーンが猛威を振るったことも、オレンジ果汁が不足する原因になった。

「オレンジは果実と果汁では種類も生産地域も異なっており、在庫が回復しない根本的な理由です。例えばアメリカのカルフォルニアはオレンジの一大産地ですが、栽培されているのはネーブルオレンジです。こちらは食用に適しているので果実として出荷されます。果汁に適しているのはバレンシアオレンジで、その主要生産国がブラジルとアメリカのフロリダなのです」(同・情報部)

 果汁の在庫が減少を続けているのだから、普通ならビジネスチャンスだ。多くの生産農家が果汁生産に参入しそうなものだが、そうはならない。

 例えばカルフォルニアでバレンシアオレンジの生産に乗り出そうとしても、新しく栽培を開始し、さらに果汁工場を建設する必要がある。すぐに果汁を生産できないどころか、相応の資本投資が求められる。これでは、とてもソロバンが合わない。

 結局、ブラジルとマイアミでバレンシアオレンジの収穫量が回復するのを待つしかない。そしてオレンジジュースの愛飲家にとっては残念なニュースだが、前途は厳しいという。

「ロイターが先日、ブラジルにおけるオレンジ生産量の減少は底を打った可能性があると報じました。徐々に回復基調に転じているようですが、それでも明るいニュースとは言えません。何しろ3年連続の不作で果汁の在庫が大幅に減ってしまっています。在庫を往時のレベルまで回復させるのは、それなりの期間が必要でしょう。まだ当分、オレンジ果汁の高値は続く可能性があると考えています」(同・調査部)

註:参考記事は以下の通り。

オレンジジュース販売休止 トロピカーナ900ミリリットル(共同通信:2023年5月26日)

オレンジ飲料 相次ぐ販売休止 減産で輸入果汁高騰(日本農業新聞・電子版:4月30日)

デイリー新潮編集部

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