9歳で「妹殺し」の汚名を着せられた「ジョンベネ事件」兄の凄絶半生 「ただただ、普通の子どものように育ちたかった」

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850億円を請求する訴訟

 ところが、疑いを晴らしたいという兄の積年の願いは、いともたやすく裏切られることになった。

 トーク番組が放送された直後、アメリカ三大ネットワークの一つであるCBSが「ジョンベネ殺しの犯人は兄のバーク・ラムジーだ」と示唆するドキュメンタリー番組を放送したのだ。事件後、ジョンベネの胃袋の中からパイナップルが見つかっていたが、「このパイナップルを巡るけんかがエスカレートした」というのが、番組の読み筋であった。

 この放送に激怒したバークは、名誉毀損(きそん)だとしてCBSなどに合計7億5000万ドル(当時約850億円)を請求する訴訟を提起。

「19年に両者の間で和解が成立したと報じられました。和解金は明らかにされませんでしたが、おそらくバーク側に有利な条件だったのでしょう」

ここへきて新たな動きが

 事件から今年で28年。家族にとってあまりに長い時間が流れたが、ここへきて新たな動きも見られるという。

「事件が起きたコロラド州の捜査当局は、昨年、ジョンベネ事件を『未解決事件調査チーム』による検討対象としました。チームは捜査で集められた筆跡やDNA、靴跡など2500点近い証拠と、聞き取り調書など4万件に及ぶ報告書を全てデジタル化して分析し、FBIや民間の分析会社などと連携して捜査を行う地元の署に助言を与えたのです」

 長年、捜査機関と確執があった父親も、この動きを肯定的に評価しているという。だが、その父親もすでに齢80。残された時間はあまりない。

週刊新潮 2024年5月2・9日号掲載

特別読物「これぞ世界仰天ニュース 国際版『あの人は今』」より

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