米国は金利高止まりでインフレ収まらず…増加中の「仕事はあるが資産は少ない」層が直面する苦境

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貧困層よりも厳しい生活を強いられる層

 今後の景気の先行きが危ぶまれる中、多くの米国人は既に苦境に陥っている。

 米国の非営利団体が発案した造語「ALICE」は「就職しているが、資産は限られ、住宅費や医療費などを支払う余力が不足している状態」(Asset Limited, Income Constrained, Employed)を指す。4月23日付BUSINESS INSIDERによれば、米国の貧困率が下落する一方、過去10年でALICEの比率は増加して30%に迫っているという。政府の援助を受けられない彼らは、貧困層よりも厳しい生活を強いられているのかもしれない。

 このような状況下で米国経済が景気後退入りしたら、バイデン政権への評価がさらに下がるのは火を見るより明らかだ。半年後に迫った大統領選でバイデン氏が再選するためにはインフレ退治が不可欠だが、その妙案を見つけることはできるのだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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