逮捕直前、社長は世間のさらし者にされた…東大薬学部出身のロン毛弁護士が明かす、警視庁の卑劣な捜査【大川原化工機冤罪事件】

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長髪がトレードマーク

 大川原化工機で事件後、銀行やメディア応対などに腐心してきた初沢悟取締役は「文章を書くのがあんなに速い人を見たことがない。何を頼んでも仕事の切れがよく、的確で滅茶苦茶に速い。どういう頭脳をしているんだろうかと思いますよ」と、高田弁護士について評価する。

 当の高田弁護士は「僕は基本的に朝型なんですよ。深夜まで仕事をしたりはしません。午後7時ごろには仕事を終えてしまいます。あとは妻の料理を楽しんだり、一緒にフランス料理とか美味しいものをレストランに食べに行ったりするのが好きですね」と笑う。

 趣味は音楽で「弁護士や元プロのミュージシャン、サラリーマンなどとロックバンドを組んでギターを弾いたり歌ったりします。去年12月に久しぶりに仲間と演奏しました。久しぶりでしたね」と言う。長髪がトレードマークで、「弁護士になりたての頃はもっと髪を長くして、後ろで結んでいたりしました。ちょっとそれでは弁護士稼業がやりにくくなって、今程度の長さに……」と言う。

塚部貴子検事への「同情」

 大川原化工機事件を担当し、逮捕・起訴にゴーサインを出した東京地検の塚部貴子検事と高田弁護士は司法修習の同期だが、これまで話したことはなかったそうだ。

 昨年の証人尋問で「自分の判断は間違っていなかった」などと語っていた彼女を目の当たりにした感想を問うと「やはり組織内で自分の意志では何もできなくなってしまっているのでは。しんどい思いをして無理しているんだなあと、可愛そうになる部分はありましたね」と明かす。

「みんな最初は日本をもっとよくしたいとか理想に燃えて司法界に入ったはずです。それが次第に良くも悪くも組織に染まっていってしまう。一人の人間として考える余裕がなくなってしまっているのでは」

 一般に司法修習の同期は結びつきが強いと言われる。

「今年は名古屋で同期の同窓会があるんです。塚部検事が来るかどうかは知らないけど、検察官や裁判官も来てしまう。大川原化工機の事件が完全に終わるまでは参加したくてもちょっと参加できないんですよね」と残念そうだ。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「『サハリンに残されて」』(三一書房)、「『警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」』(ワック)、「『検察に、殺される」』(ベスト新書)、「『ルポ 原発難民」』(潮出版社)、「『アスベスト禍」』(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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