上京するたびに舌を巻く「東京の立ち食いそばが美味しすぎる件」、地方移住したネットニュース編集者が語る“春菊天そば”の魅力

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かけそば一杯600円時代も

「六文そば」もチェーン店だが、人形町店のげそ天そばは実に見事。タンパク質が欲しい時にはこれをいつも食べるようにしている。こちらの看板メニューであるげそ天そばの350円という激安価格もあり、店内には常に客がいる。入れ代わり立ち代わり、客が入って来ては「ごちそうさまー」と言って出ていく。

 立ち食いソバの魅力の一つは、店主兼料理長と直で接するところにもあるのではないだろうか。多くの店が、店主一人かアシスタントのもう一人で運営されており、料理を作った人に直接感謝を伝えられる業態である。客の感謝を店主が目の当たりにすることもあり、味の研鑽を積み重ね、日々進化しているように感じられる。

 明らかに20年前よりもウマくなっている東京の立ち食いソバ。これから円安の加速と物価高でいかように進化していくのか? そこが楽しみではあるが、現在のかけそば一杯400が600円も当たり前、という時代になるかもしれない。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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