“伝統の一戦”が荒れに荒れ…長嶋監督が頭を丸めた「阪神巨人戦」の大乱闘劇
審判にボールを投げつける暴挙
近年のNPBではほとんど見られなくなった大乱闘をテーマに、ファンの記憶に残る場面を振り返るGW企画、第3回は3日間で計3人の退場者を出し、大荒れに荒れた1998年夏の阪神対巨人を紹介する。【久保田龍雄/ライター】
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7月31日に甲子園で幕を開けた伝統の一戦3連戦は、まず第1戦で、巨人の先発・ガルベスが審判にボールを投げつけるという前代未聞の暴挙が、大きな波紋を呼び起こした。
この日のガルベスは大豊泰昭に2打席連続弾を浴びるなど、5回までに5失点と調子が良くなかった。6回にもルーキー・坪井智哉をカウント1‐2と追い込みながら、4球目の際どい内角直球を橘高淳球審に「ボール」と判定され、カッとなった直後、右越えに被弾し、6点目を失った。
ここで巨人・長嶋茂雄監督は投手交代を告げたが、池谷公二郎投手コーチが通訳を伴ってマウンドに行くと、興奮状態のガルベスはスペイン語で何やらわめきながら、橘高球審に詰め寄る。「思いどおりの投球ができないのは審判のせい」と言わんばかりの八つ当たり的な行動に、見るに見かねた長嶋監督も「お前、何やってるんだ。早く(ベンチに)戻れ!」と肩で背中を押して連れ戻そうとした。
史上最高の制裁金4000万円
ところが、ガルベスはベンチ前まで来たところで、突然尻ポケットからボールを取り出すと、約30メートル離れたマウンド付近にいた橘高球審を目がけてビュッ!と思い切り投げつけた。
幸いボールは頭上約2メートルの高さを通過していったので大事に至らなかったが、もし頭を直撃していたら、大惨事になりかねないところだった。
なおも、ガルベスが目を血走らせて飛び出していこうとしたため、ナイン総出で止めようとしたが、もみ合いの際に捕手の吉原孝介がガルベスから顔に肘打ちを食らい、口から血を流してうずくまるなど、上を下への大騒ぎになった。
ガルベスは「ボールを投げつける侮辱行為」で退場処分となり、シーズン残り試合の出場停止と史上最高の制裁金4000万円が科せられた。
そして、ガルベス事件の余韻がまだ冷めやらぬ2日後の8月2日に再び騒動が勃発する。
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