5分で分かる「SHOGUN 将軍」の魅力 真田広之、浅野忠信、アンナ・サワイ、二階堂ふみの演技力が光る

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 真田広之が主演、プロデュースを務めたドラマ「SHOGUN 将軍」(全10話、ディズニープラスで配信中)が最終話を迎えた。2月27日の配信開始直後から世界中で話題になったこの「ハリウッド版時代劇」は、何がすごいのか。【ライター・渥美志保】

船員を「釜茹で」

「SHOGUN 将軍」は、徳川家康をモデルとした吉井虎永が天下を制するまでを、漂着したイギリス船の航海士ジョン・ブラックソーン、通称「按針」の視線を通じて描いた作品である。虎永を演じる真田広之を始めとする俳優たちの圧倒的な演技はもちろんだが、彼らの演技を十二分に引き出した脚本の素晴らしさも決して見逃せない。

 登場人物たちはその多くが本当の気持ちを明かさず、「運命」「宿命」「使命」に縛られながら生きている。そんな彼らが自分の「生」のすべてを賭けたある一瞬を、ドラマは鮮烈に描き出しているのだ。その一瞬とは、彼らが避けられない「死」と対峙する瞬間である。

 ドラマのそんなテーマは、第1話で浅野忠信演じる樫木藪重によって語られる。

 藪重は虎永配下の田舎大名で、彼が守る伊豆・網代の入江に銃と大砲を満載した外国船が漂着する。そのうちの1人がこの作品のもう1人の主人公・按針で、藪重はこれを自分の切り札に虎永を裏切り、最も力を持つ大老・石堂に取り入ろうとするのだが、それはさておく。

 藪重は、按針とは別の船員をひとり選び、その死の瞬間を見るために「釜茹で」にする。

「死から逃れられないと分かった瞬間、人間はそのこととどう対峙するのか」

 藪重はそこに興味がある。船員の死は「全ての者と同じように、やつの最期はただやってきて、過ぎ去っていった」のみで、藪重はひどくがっかりさせられる。だがドラマはそこから「人は何のために、どのように死の瞬間を迎えるのか?」というテーマとともに、毎回何人もの登場人物の死を見つめながら進んでゆく。

海外の観客を惹きつける要素

 作品では、様々な人物の死に様が鮮烈に描かれる。中には「なんとマヌケな……」というものもあるのだが、ドラマはそれを笑わない。

 ある人物の死に様を目撃した藪重の甥・央海の言葉――「あの方が向こう見ずにあったにせよ、たったひとつのものに賭けておられた。ご主君に。虎永様に」からは、このドラマの全体像が浮かび上がってくる。それは「大義のための死」もしくは「死を無駄にしないための大義」だろう。

 それは尊いものではあるのだろうが、現代に生きる筆者には(そしておそらく海外の観客には)恐ろしくもある。というのも虎永は、死に急ぐ者たち、死を望む者たちを諌め、生きる意味を与えてやるようなことは決してしない。一見すると、ただ彼らが選んだ死のタイミングで、それを有効活用すべく画策する冷徹な戦略家なのだ。

 その最たる存在が、按針の通訳としてずっと付き添ってきた鞠子である。

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