「ナンパされて車に連れ込まれそうに…」「車を盗まれて全損」 川口市が直面する「クルド人問題」に迫る【スクープその後】

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7人逮捕されるも、全員が釈放

 冒頭で触れた事件は、地域の安心安全に重大なダメージを及ぼした。

〈病院でクルド人「100人」騒ぎ、救急受け入れ5時間半停止 埼玉・川口〉(23年7月30日付/産経新聞)

 川口市のクルド人をよく知る事情通は言う。

「クルド人の若い男が既婚のクルド人女性を連れて横浜に逃避行。それがもめたそもそもの理由です。その男性が彼女の親戚一族の男たちに襲われて刃物で切りつけられ、(川口市立)医療センターに救急搬送されました。それを聞きつけた男の親族や双方の親戚、仲間が集結したんです。中には開けろと大声で叫んで、救急外来のドアをガンガンたたく人がいたりして大騒ぎになってしまいました」

 病院側は騒ぎを受けて110番。救急搬送の受け入れを停止した。

〈県警からは多数のパトカーや機動隊が出動。その際、男2人が暴行や警察官に対する公務執行妨害の現行犯で逮捕されたほか、別の男4人が男性に対する殺人未遂容疑で逮捕〉(同前)

 幸い、救急搬送の停止で失われた命はゼロ。しかしその可能性は十分にあった。騒ぎを起こしたクルド人の男たちは最終的に7人が逮捕されるも、不起訴処分となり全員が釈放された。

 松浦市議は言う。

「“野放しにするのか”という不安の声を多数聞きました。釈放されたクルド人7人は今も近辺に暮らしているそうです」

花火を投げ込み…

 また、医療センターの事件以上に、注目するべきは同月に起きた次の事件かもしれない。

〈立腹…14歳が喫煙、商業施設で音楽爆音 出禁にされ花火投げ込む「外国人の僕だけ悪い事すると差別される」〉(23年8月3日付/埼玉新聞)

 この14歳の少年はトルコ国籍のクルド人。記事によると〈複数人と施設内で大音量で音楽を流したり、たばこを吸うなどの迷惑行為を繰り返したとして、60代の男性警備員から出入り禁止を告げられた。これに憤慨し「外国人を差別するのか」「爆破してやる」と警備員を脅迫。その後、一度立ち去り、煙幕花火を持って施設に戻ってきた〉。

 そして花火に火をつけ、施設入口に投げ込んだのだ。少年は数日後、脅迫容疑で逮捕(翌月には威力業務妨害容疑で再逮捕)された。

 深刻化する川口市の状況。以上の例からも分かるように、迷惑行為や犯罪行為の多くは若年層、つまりこの地に定着していたクルド人の2世や、ここ15年余りで渡航してきたニューカマーによる。

 後編では、クルド人側の言い分、そして川口市議の「多文化共生は不可能」との意見を紹介する。

西牟田 靖(にしむたやすし)
ノンフィクション作家。1970年大阪府生まれ。日本の国境、共同親権などのテーマを取材する。著書に『僕の見た「大日本帝国」』、『本で床は抜けるのか』、『誰も国境を知らない 令和版』など。

デイリー新潮編集部

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