小栗旬は続編への出演ならず…日本俳優のハリウッド進出を阻む壁 真田広之は特別な存在に
名前があってもチヤホヤしてくれない
他にも日本で名の知れた俳優では、赤西仁(39)がキアヌ・リーブス(59)主演の「忠臣蔵」をモチーフにした「47RONIN」(13年)に、山下智久(39)はNetflixで配信中の映画「マン・フロム・トロント」、木村拓哉(51)はHuluで配信中のドラマ「THE SWARM/ザ・スウォーム」で海外進出。赤西は主要キャストだったが、「47RONIN」以後、海外作品への出演がなく、山下と木村は端役の中でも、かなりセリフの量が少ない役どころだった。
3人とも、オファーが来た時点で、国内では絶大な力を持っていた旧ジャニーズ事務所(株式会社SMILE-UP.)の所属だったが、結局、海外進出は成功したとは言い難い。
「いくら日本国内で大きな事務所に所属していても、海外進出したら実力で勝負するしかありません。最近、真田さん以外で海外での活躍が目立つのは、『SHOGUN 将軍』にも出演している浅野忠信さん、故平幹二朗さんと佐久間良子の息子である平岳大さんです。特に平さんはアメリカの高校・大学を卒業。コロナ禍の20年、国外で活動するために妻子と共にハワイへ移住しました。木村さんと『The Swarm』で共演していますが、出番もセリフ量も木村さんを上回っています。もう一人、故千葉真一さんの息子・新田真剣佑さんは、米国育ちで英語力は申し分がないので、今後が期待されます」(同前)
日本の芸能人は安定志向?
真田が今年2月29日、フジテレビの情報番組「めざまし8」でオンエアされたインタビューで、自身が実感した「日本人がハリウッドで成功するための条件」をかなりリアルに語っている。
「向こうで活動するとなると、コミュニケーションはやはり英語が大事ですね。オーディションで通訳を通さないといけない人だと『ハイ、次の人』ということにもなりかねません」
と英語力の重要性を力説している。さらに、
「日本のように名前があっても、チヤホヤは絶対してくれません。『このクルーの前でお前は何ができるんだ?』と思われるので、納得させないと信頼してもらえないんですね。ですから当然マネジャーも現場には来ませんし、単身、直にやりとりをして信頼を勝ち取っていくという感じです」
そして、日本の芸能界との違いをこう説明した。
「守られすぎた人は『えっ!』ということになると思います。プロダクションのパワーも通用しませんから。逆に言えば、厳しいけどもやりがいのある状況だと思います」
ところで、そもそも日本人俳優で“メジャーリーガー”級の活躍をしている人が少ないのは、英語力以外にも理由があるという。
「今年の『アカデミー賞』で露呈した“アジア人差別疑惑”などからして、いまだに向こうではアジア人を蔑視する風潮があります。そもそも、アジア人が中心人物になる作品はほとんど製作されません。それでも、中国や韓国の役者は“メジャーリーガー”を目指す人が多く、米俳優組合(SAG-AFTRA)に入っている役者も多い。アジア人役はまず組合から優先的に起用されてしまい、日本人が“新規参入”することは難しいのです」(先の記者)
日本の芸能界は芸能事務所、各テレビ局、各映画会社、CMクライアントなどの仕組みや関係がしっかり確立されており、知名度を上げて売れれば、その仕組みの中で仕事も回り、それなりのギャラを得ることができる。
「そこで活躍すれば、何よりも安定します。それに比べて、“メジャーリーガー”になろうと思ったら、相当の覚悟が必要です。野球界では日本で活躍した選手たちが、さらなる高みを目指して続々と“メジャーリーガー”を目指していますが、日本の大多数の芸能人たちは向上心より、安定を求める気持ちが上回るようですね」(同)