とにかく打てない巨人打線、最も責任が重いのは…【柴田勲のコラム】

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秋広はどうしたのか

 前回も記したが、一シーズンを通せば活躍する選手は決まってくる。阿部慎之助監督は門脇誠を1番打者で育てたい、こう話している。ならば腹をくくってやったらどうか。

 1番・門脇、2番・吉川尚輝、3番・丸佳浩、4番・岡本和、5番・坂本勇人、そして6番は大城卓三だ。この六人だ。

 萩尾匡也、佐々木俊輔、オコエ瑠偉らは「打ってくれたら儲けもの」の7、8番で起用する。いずれ梶谷隆幸が戻ってくるだろう。

 それにしても秋広優人はどうしたのか。いまだにファームだ。確かにオープン戦の成績は悪かったが、それほど調整に苦しんでいるのか。もう開幕から1カ月以上たった。昨年は実力で3番に座った。今季の飛躍が期待された選手だ。一発があるし、打率も残せる。一塁も外野もOKだ。

 新外国人選手、ルーグネッド・オドーア外野手が開幕前に帰国しただけに、その存在は重要だったはずだ。阿部監督との相性が関係しているのか。分からない。

選手を生かすも殺すも監督次第

 阿部監督はどうも萩尾、佐々木、オコエを使いたがる。彼らはあくまでも打ったら儲けものの選手たちだと思う。そして大城だ。すっかり沈んでしまった。いまは肉体的、さらに精神的にも弱り、迷っていると思う。

 お前はダメだ。現状、こう言われているのに等しい。阿部監督は小林誠司、岸田行倫を起用することが多くなり、大城の出番は激減している。でも打力を考えたら大城だ。

 大城がマスクをかぶると打たれる。阿部監督の頭にはこれがあるのだろうが、「打たれたのはお前だけの責任ではない。自信を持って頑張ってほしい」、時にはこう鼓舞してはどうか。選手を生かすも殺すも監督次第だ。大城、球場に行くのもイヤだと思っているのでは……勝手に推察している。

 3日の阪神戦は「長嶋茂雄DAY」、ドームは超満員だろう。阪神3連戦でふがいない戦いをしたら巨人ファンが離れるかもしれない。

 さて、来週はどんな話をしているだろう。威勢のいい話がしたいところだが。(成績などは2日現在)

柴田 勲(しばた・いさお) 1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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