今永昇太(30)快進撃にメジャー予備軍は“固唾” “1年目のジンクス”克服なら戸郷、小笠原に「バブル波及」
日本のプロアマが注目
今永は高校時代、甲子園に縁がなかった。アマチュアでエリート街道を歩んできたわけではない。長身でなければ大成しづらいとされるMLBで、身長は178センチ。渡米は30歳と年齢的にはぎりぎりに近かった。投手史上最高12年総額3億2500万ドル(約470億円)でドジャース入りした山本には契約面で大きく水をあけられていたのだが……。
「今永ほど教科書的なフォーシームを投げる投手はメジャーにはほとんどいません。同じ直球でもメジャーの投手は打者の手元で動かそうとしますから。それだけに、今永のフォーシームは希少性が高いのです。左腕で、リリースポイントが低いこともそうです。フォーシームのきれいな回転は子どもの頃から指導者とともに磨いてきた、まさに日本野球の成果でしょう。メジャーを夢見る体に恵まれないアマチュアのピッチャーたちに、大いに勇気を与えていることと思います」(前出の元監督)
刺激を受けているのはメジャー予備軍のNPB投手も同様だ。当初から日米の球界関係者の間で、今永は今後を占う「試金石」に位置付けられていた。
「NPBでタイトルを総なめした山本のように、日本でナンバーワンになった投手に対するメジャーの評価はこれからも変わらないと思います。問題はその次のグループにいる投手たちです。彼らの評価が高くなれば、多くの投手が大きな契約で渡米できるようになります。今永の活躍というのは、そういう意味を持つからこそ注目しているのです」(米大手マネジメント会社の代理人)
イニング数の少なさに不安
ロッテの佐々木朗希投手は、年俸がメジャー最低保証程度に制限される25歳未満での渡米となれば無関係だが、西武の高橋光成投手と平良海馬投手、巨人の戸郷翔征投手らは25歳以上でのポスティングシステムによるメジャー挑戦が取り沙汰されている。そうした投手たちがより大きな契約を結べるかどうかは今永の活躍に左右されるところがあるだけに、球界関係者から熱視線を送られているというわけだ。
一方でこの好調がシーズンを通して続くほど甘くない世界であることも確かだ。特に今永はDeNA時代に規定投球回に到達しないことが3度あり、年平均に換算すると約125イニングだった。
「メジャー球団との交渉時には30歳になっていたこととともに、安定してイニング数を稼げていなかったことが不利に働いていました。メジャーでは長丁場のシーズンで中4、5日できっちりローテーションを守り、クオリティースタート(6イニング以上で自責点3以下)を続けられる投手が価値を認められます。その点で今永には不安が残ります」(前出の代理人)
[2/3ページ]