〈那須2焼死体遺棄事件〉 元警視庁“マル暴刑事”が語る「事件の背後に浮かび上がるトクリュウ」の存在と「戦慄の生態」

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「使い勝手のいい存在」

 櫻井氏が続ける。

「犯罪という“案件”によって離合集散を繰り返すトクリュウは組織を持たないため、全体像を捕捉することは至難の業。世間を震撼させた一連のルフィ事件でも明らかなように、彼らは“カネ欲しさ”にいとも簡単に凶悪事件を引き起こす。ただしイメージが誇張されている部分もあり、その実態は“使いパシリ”に近い存在とも言えます。ヤクザや反グレ集団にとって、トクリュウはカネを出せば最もリスクの高い仕事を引き受けてくれる“使い勝手の良い存在”に過ぎない。おまけに彼らがいくら逮捕されようと組織との接点は遮断しているため、自分たちに累が及ぶこともない。つまり“使う側”の存在と需要の増大に伴って、トクリュウがにわかにクローズアップされてきた側面がある」

 櫻井氏によれば、今回逮捕した4人から“上”に向かう突き上げ捜査には限界もあるため、警視庁は宝島さん周辺のトラブルの精査などにも注力しているはずという。

「本当の黒幕に辿り着かないと事件の全容解明に繋がらず、ヘタをすると“トカゲのシッポ切り”になりかねない。それは佐々木容疑者に指示を出した人物らの思うツボだということは、警視庁も重々分かっています。ただし本当に憂慮すべきは、これまで特殊詐欺事件などで主に『受け子』や『出し子』として登場してきたトクリュウが、今回のようにいまや殺人など凶悪犯罪にも当たり前のように関与し始めている点。犯罪のボーダーレス化とともに、事件解決に向けた捜査の難易度は今後、ますます上がる可能性がある」(櫻井氏)

 逮捕された4人の背後で“高みの見物”を決め込む連中に迫れるか。警視庁の威信を懸けた捜査は続く。

デイリー新潮編集部

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