驚異のがん予防効果! ブロッコリーのすごい力をプロが解説 52年ぶりに指定野菜に

ドクター新潮 ライフ

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“若返りのビタミン”

 ブロッコリーが指定野菜の仲間入りを果たす背景には「ブロッコリー人気」があり、国産ブロッコリーの22年の出荷量は、その20年前の約2倍にも達しています。

 原産地は地中海東部で、イタリアではローマ時代から食されていましたが、日本での歴史は浅く、第2次世界大戦後、駐留軍向けに栽培されたのをきっかけに一般にも広まり、指定
野菜になるまで親しまれるようになりました。

 それも当然のことで、ブロッコリーの栄養の豊富さは特筆に値するものがあります。例えば、生活習慣病の予防に効果的なβ-カロテンなどのカロテン類の含有量はトマトの約2倍、抗酸化作用を持つビタミンCの含有量はレモンのやはり約2倍。ゆでたブロッコリー100グラムの中に含まれるビタミンCは55ミリグラムで、これだけで厚生労働省が推奨する1日当たりのビタミンC摂取量100ミリグラムの半分以上を満たします。

 他にも、“若返りのビタミン”とも呼ばれ、美肌効果のあるビタミンEはニンジンの約5倍、免疫力を高めるビタミンB群もバランス良く含まれていて、不溶性の食物繊維が豊富であるため便通にも良い。まさに、「栄養宝石の冠」と呼ぶにふさわしい野菜なのです。

ポイントは辛味の元

 そのブロッコリーに関して、なんといってもエポックメイキングだったのは、1997年に行われたある研究発表でした。米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部のポール・タラレー教授が、スルフォラファンの優れたがん予防効果を明らかにしたのです。

 ブロッコリーを食べると、鼻にツーンとくる独特の辛味を感じませんか? ブロッコリーに限らず、ダイコン、ワサビ、キャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜に共通する特徴ですが、その辛味の元は「イソチオシアネート」というイオウ化合物で、冒頭で紹介したスルフォラファンはこの一種です。

 私たちの生活は、食品添加物など発がん性物質に取り囲まれています。できるだけ体内に取り込まないように心がけたい一方、全く摂取しないということは現実的には不可能でしょう。そうである以上、体内に入ってしまった有害物質を可能な限り無害化して体外に排出するしかない。その役割を果たすのが解毒酵素です。そして、解毒酵素を最大限に活性化してくれるのがブロッコリーなのです。

 より具体的には、ブロッコリーに含まれるスルフォラファングルコシノレートという配糖体が、摂取された後に腸内細菌が働くことで糖とスルフォラファンに分解され、このスルフォラファンが解毒酵素を活性化させるのです。

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