二階前幹事長は世襲完了…追い詰められた世耕弘成氏に残された究極の選択 「和歌山2区でガチンコ勝負の狙い」

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“世耕包囲網”の可能性

 その世耕氏は4月、裏金事件の処分として自民党から離党勧告が出たため、離党届を提出して受理された。

 こうなると二階氏の圧勝と見るのが自然なのだろうが、和歌山の選挙区事情に詳しい自民党関係者は「まだまだ決着はついていません」と言う。

「二階さんにとっての“決着”は、世耕さんが衆院への鞍替えを諦めることです。世耕さんは来年、改選を迎えます。参院選に無所属で出馬し、自民党が配慮して対立候補を立てないのなら、当選して復党というシナリオも描けます。ところが党内では『次の参院選の和歌山選挙区では、世耕さんの対立候補を擁立するのが筋だろう』という意見が出てきているのです」

 もし自民党の候補が出馬すれば、世耕氏は正真正銘の対立候補となる。自民党にとっては敵だ。その世耕氏が自民党の候補者を返り討ちにしたとなると、復党には暗雲が立ちこめる。「自分たちの仲間を落選させた世耕氏を、なぜ自民党が迎え入れなければならないのか」という議論が党内で起きる可能性が高いという。

 過去に似た例がある。2005年の郵政選挙では、自民党の造反議員は公認が与えられなかったのだ。さらに党公認の対立候補が同じ選挙区で立候補し、こうした候補者は“刺客”と呼ばれた。

進むも地獄退くも地獄

「無所属の造反議員として厳しい選挙戦を制し、なおかつ自民党に恭順の姿勢を見せ続けた衆議院議員は全部で12人いました。彼らは2006年11月に復党届を提出。党内で激しい議論が起きましたが、最終的には11人の復党が認められました。これに世論は反発し、当時の首相は安倍晋三氏でしたが、就任当初は70%近くあった支持率が50%台に急落してしまったのです」(前出の記者)

 自民党にとっては今も“悪夢”として記憶されている。これを和歌山県で繰り返すわけにはいかないと考えても不思議はない。

 参院選で対立候補を立てない時点で、世論が自民党を批判する可能性がある。世耕氏が当選したとしても、復党を認めると内閣支持率が急落してしまうかもしれない。一方の世耕氏にとっては、自民党に復党できなければ元も子もない──。

「改選を果たしても自民党に戻れないのであれば、世耕さんにとって参院選は意味がないことになります。ならば思い切って無所属で新2区から出馬し、三男の伸康さんに戦いを挑むという手があるのです。もし世耕さんが当選したとしても、自民党にケンカを売ったことに変わりはありません。しかし一度は衆院への鞍替えを公言し、総理を目指していたのです。初志貫徹、有言実行という強いイメージを有権者に示すことができます」(前出の関係者)

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