「クレーマーとの闘いに徒労感しかない」 グーグルを集団提訴した開業医たちが直面する言われなき誹謗中傷のヒドさ
“サクラ”の利用を進めてくる業者
時間厳守を実行するには、患者の話をじっくり聞かずに流れ作業をすれば良いだろうが、それはそれで不満のタネになるだろう。また無駄な薬を処方しないのは医者としては正しい姿勢なのだが、これもまた不満のタネになるとすれば、医者側からすればやるせないものがあろう。
グーグル側はユーザーに対し、実際の経験や情報に基づいていなかったり、中傷的な表現や個人攻撃をしたりする投稿を禁じており、野放しにしているわけではないと主張しているようだが……。
「感情的な投稿も目立ち、クレーマーと日々闘っている徒労感しかないですね」
とは、都内でクリニックを開業する別の医師。
「事前に誹謗中傷をしないということを相手側と確認していても、お構いなしに中傷されたり、その確認行為自体を非難されたりすることもありますね」
一方、“サクラ”の利用を進めてくる業者もいるという。
「「金銭を支払って高い評価を書き込んでもらうというものですね。実際そういった勧誘もありますよ。医療行為に関する星をお金で買うというのは理解しがたく導入するつもりは一切ありません」(同)
ずさんな医療機関の評価は低い
「これはグーグルマップに限らないでしょうが、マッチポンプと言うのでしょうか、高いだけではなく低い方の評価も同じ業者やグループで書き込んで、“成果”をアピールすることが横行していると聞きました」(同)
もっとも、いずれの医師にも共通するのが、「ずさんな管理をしている医療機関の評価は低い」という点だ。
「以前に働いたことがあったり、知り合いの医師を通じて実態を知っていたりする医療機関について、“自分が患者だったら選ばないなぁ”というところが結構あります。そういう病院が低い点数になっているのは事実。その点だけ見れば、“間違っていないなぁ”とも感じます。評価のシステムがある自体は、改善や新陳代謝を促すので、悪いことばかりではないですし、利用する側にとっても何らかの評価軸が欲しいのは事実でしょう。評価に関するルールも一応はあるので、このあたりがもう少し厳しく守られると良い方向に向かうのかもしれないですね」(同)
初見の「患者ウケ」がいいからといって、いい医者とは限らないのだが……。
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