「朝起きた瞬間、頭が真っ白に…」 円安ショックで“4000万円超のロスカット”、有名FXトレーダーが明かす“GWの悪夢”
27日未明に4155万円の強制ロスカット
あっきん氏は41歳の経営者/トレーダーで、23歳の時に公務員を辞めるためにFXによる資産運用を開始。トレードの結果をブログやSNSで公表するスタイルに定評がある。
「私が持っていたポジションは“ユーロ売り/円買い”です。つまり、ユーロに対して円が値上がりすれば利益になるのですが、逆に円安が進むと損をしてしまうトレード。このポジションを持ち始めたのは2022年4月頃なので、約2年間含み損を抱えていたことになります。それがいよいよ強制ロスカットになったのが、27日未明のことでした」(あっきん氏)
あっきん氏がもっとも取引量の多いドル/円ではなく、ユーロ/円でトレードしていたのは、このポジションを持っていた2022年の各国の金利差に理由がある。日本は当時、まだ-0.1%のマイナス金利。対するアメリカは2月には0.25%だった金利を、3月に0.5%、5月に1%、そして、6月に1.75%まで上昇させ、本格的な利上げ政策の途上にいた。
外国通貨に対しショート(売り)ポジションで入る場合、円よりも金利が高い場合はその金利差によって生じるコストを支払う必要があり、逆にロング(買い)ポジションの場合は金利差によって生じた利益を、トレードによって生まれる利益とは別に受け取ることができる。これを「スワップ」と呼ぶ。
「その頃、まだECB(欧州中央銀行)はマイナス金利政策を取っていたので、ショートでポジションを取るトレーダーにとっては、ドルよりも条件が有利だったのです。もっとも今はECBの政策金利も4.5%なので、私の場合だと1か月で約130万円、1日当たりでは約4万円の“マイナス・スワップ”が発生していたんですけどね」(同)
感情や経済状況に左右されないトレード手法
ところで、なぜマイナス・スワップの発生しているような状況で、含み損を抱え続けることになったのか。もう少し負け額の少ない場面で損切りすることは考えなかったのか。
「それには、私のトレードへの考え方と、これまで実践してきた“トラリピ”というトレード手法が関係しています。私がFXを始めたのは20年ほど前のことですが、当時は私も“裁量トレード”で売買をしていました。裁量トレードというのは、チャート分析や経済活動などの状況を示す要因をもとに行うファンダメンタルズ分析から、為替の上がり下がりを予想してトレードすることです。でも、そのやり方では何度やっても勝てませんでした。だから、為替を予想すること自体を一切やめようと決めたのです」(同)
自分の判断やチャート、その時の経済状況などを元に判断する「裁量トレード」をやめ、代わりにあっきん氏が実践してきたのが「トラリピ」というトレード手法。
トラリピとは「trap repeat if-done」の略で、その名の通り、トラップ(罠)を繰り返し張るように利益を重ねる方法。例えば「1ドル150円の時にドルに対し売り注文を出し、1ドル149円の時に利確する」といった注文を自動売買で繰り返し、利益を重ねていく。
このトラリピ自体はマネースクエア社の特許技術だが、あっきん氏は9年前にこのサービスを知る以前から、手動注文で自動売買を繰り返し、資産を増やしてきた。
「始めに売買注文を出すには、注文を仕掛ける範囲やトラップ本数を入力する必要があります。それらの数値を決めるためには、“ここまで損が膨らんだらロスカットになる”という越えてはならない許容ラインを決める必要があります。私の場合は保有資産などから逆算し、余裕をみて1ユーロ169円を想定ロスカットラインとしていました。そこまでは耐えると決めていたのは、最初に決めたラインよりも前に損切りしてしまったら、それはもう、私がやらないと決めていた“裁量トレード”になってしまうからです」(同)
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