「ウエストランド河本」飲酒トラブルで知るべき、自分は“酔ったらどうなるタイプ”か?「年間360日飲む」ネットニュース編集者が考えた“酔っ払いの8パターン”

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「寝る」と「記憶を飛ばす」

 ここには「出入り業者ごときが」という意識もある。河本にしても「タクシー運転手ごときが有名人のオレ様を乗車拒否するのか?」といった意識があったのかもしれない。今回【1】~【8】までの酔っ払いの類型を出したが、【1】酒乱で怒りっぽくなる、は【8】卑猥な狼藉を働いてしまう、と並んで良くないパターンのツートップである。暴力沙汰に繋がる恐れがあるからだ。

 あと、なんで酔っ払うと卑猥な狼藉を働いてしまうのかといえば、勝手に「無礼講だ」と思ったり、判断力を失い、目の前にいる女性が自分のことを好きなのではないか、といった誤解をしてしまうからだ。もちろんそんなことはほぼあり得ない。

 私の場合【5】と【6】の、「寝る」と「記憶を飛ばす」がある。「寝る」については本当に眠くて仕方がなくなってしまうのだ。馴染みの店でしか寝ないようにはしているが、もはや起きていられないのだ。あと、記憶を飛ばす件については、2次会の途中から記憶が一切なく、気付いたら自分のベッドで朝を迎えている。果たして会計はしただろうか……。失礼なことを言ってないだろうか……。

人間はどこかで愚行権を求めている

 そんなことを考え、同席した人々に「お金は払いましたか? 失礼はなかったですか?」とメールで聞き、返事を待つ間のいたたまれない気持ちよ。本当に記憶が飛ぶのは困ったものである。しかしながら普段と変わりのない様子でしたよ、と言われることがほとんどなので、私としては【1】怒る【8】卑猥な狼藉を働く、の2つの傾向がない酔っ払いであることは不幸中の幸いである。

【4】の自分がいかにくだらない人間かを滔々と語って泣き出す、については、大学時代の友人・Bがそれにあたる。彼は酔っ払うと突然泣き始め、自分がいかに無価値な人間であるかを嗚咽しながら演説するのである。子供時代、親からは無能扱いされ、それがために自分は生まれてこない方が良かったのでは、と考えるようになったのだ。そしてそこで酒を追加でガンガン飲みまくり「オレなんて! 生きる価値がないくだらない男だ!」と絶叫するのが常であった。

 このように考えるとロクなことがないのになぜ酒をやめられないのか、については、「人間はどこかで愚行権を求めている」ということにしか行きつかないのではないか。健康上も酒は良いものではないわけだし。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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