カブス・今永昇太は無傷の4勝…関係者が指摘する“DeNA時代と明らかに違っている点”
最少失点で投げ切る今永
今永は3勝目を挙げた4月20日のマーリンズ戦では、6回を投げ被安打5、失点3。前回14日の登板からボールカウントが先行するなど苦しい場面も多かったが、調子が悪いときも最少失点で抑える“テクニック”で、カウンセル監督の信頼も厚い。
「自責点が公式記録になったのは、1913年。以後、開幕から自責点3以下を3試合以上続けて記録したメジャー投手は、過去3人しかいません。今永の凄さを伝えるための比較対象がMLBの歴史だったので、米国ファンも評価しています」(前出・同)
今永がメジャーリーグで成功したポイントとして、強気に内角を攻める点も挙げられていたが、それだけではない。投球の角度が“独特”なのだという。
「メジャーリーグに行ってから、肘の位置が少し低くなったようですね。米国のマウンドに合わせたのだと思います」
古巣・DeNAの球団スタッフがそう言う。今永は身長178cmで、野球選手としては小柄なほうだ。日本の球場よりも傾斜面が高いマウンドに立つのなら、上から投げ下ろしたほうが効果的だと思われるが、そうではない。他のメジャー投手よりも身長が低い分、リリースポイントも低くなる。対戦チームのバッターは、今永の「低いリリースポイント」からさらに低めに投げ下ろされる軌道に翻弄されているのだ。
「昨年オフ、獲得交渉を進めていた米球団スタッフが評価していたのは、右バッターを苦にしないことと、直球のキレでした。DeNA時代の映像を見て、浮き上がるような独特の軌道も評価されていました。ただ、調子の悪いときは直球にキレがなく、棒球になっていると心配する球団もありました。今永はリリースポイントを低くすることで、調子が悪いときも棒球にならないよう工夫したんだと思います」(前出・米国人ライター)
前出のDeNAスタッフによれば、「3年くらい前からMLB挑戦の目標」を周囲に打ち明けていたという。単に夢を語るのではなく、「活躍するにはどうすれば良いのか」も考えてきたのだろう。
「今永は4年5300万ドル(76億8500万円)で契約しました。これはレギュラーを保障されたトップクラスの契約であり、カウンセル監督も今永のオープン戦登板に関しては結果を全く求めないエース級の扱いでした。カブスは地区優勝を争っているので、今後は首位攻防戦などの重要な試合も任されるでしょう」(前出・現地メディア)
「ヤンキースキラー」と呼ばれている男
また、日本のメディアでもっと評価されても良いのが、ブルージェイズの菊池だ。27日のドジャース戦では、花巻東高校の後輩である大谷との対戦が実現。3打数1安打1打点となり、2敗目となってしまったが、22日のロイヤルズ戦に先発し、6回、被安打5、奪三振4、失点2で今季2勝目を収めている。
「今季初勝利がヤンキース戦でした。ヤンキース戦の先発は早くも2回目ですが、ニューヨークメディアが菊池のことを『ヤンキースキラー』と称しています」(現地記者)
前々回登板の5日でのこと。菊池には勝敗がつかなかったが、5回3分の1を投げ、失点ゼロ、ブルージェイズは零封リレーで勝利した。舞台は敵地・ヤンキースタジアムで、地元TV局SNYは、
「菊池はメジャーデビューからヤンキースタジアムで計7試合で投げたが、通算防御率は1.67。Hit The Wall」
と、菊池が難敵であることを訴えていた。
「17日のヤンキース戦にも先発し、6回1失点で勝利投手になっています。今季の対ヤンキース戦の防御率は0.79です」(前出・同)
伝統球団の難敵である菊池のピッチングがア・リーグ東地区の優勝争いに大きく影響してくるのは必至だ。大谷も見たいが、今季は日本人メジャーリーガーの飛躍のシーズンともなりそうだ。