娘に紹介できない女性と3回目の結婚…愛情を結婚という形にしているのに、とにかくうまくいかない45歳男性の女性遍歴

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今度は「自分は必要とされていない」感が強くなり…

 離婚後、ユキさんが隼平さんの自宅で生活するようになり、35歳で再婚した。彼女はあまり結婚には興味がないと言ったが、「本気で好きだという自分の気持ちを形にするには結婚しかないんだ」と彼は押し切った。

「それなのに結婚したら、急速に関係が変わりました。僕が悪いんだと思う。結婚したら安心したんでしょうね。彼女を知ろうとすることをやめてしまった。一方でユキは日々、バージョンアップしていたんだと思います。映画を観たり本を読んだり、もちろん新しいカクテルの勉強をしたり。自分のペースでしか生きられない。もちろんそれが彼女の魅力だったのに、僕は急に平穏な日々を望むようになった。休日をどう過ごすかも合わない。僕は買い物でもして早く帰ってふたりでゆっくりしたい。でも彼女は映画をハシゴして、さらに最近話題のスポットに出かけて、めいっぱい遊びたいと。それが彼女の心の栄養にもなるんでしょうが、僕は疲れてしまう。結局、彼女はひとりでどんどん出かけていく」

 カメラ好きの店のお客さんがときどき集まって撮影会に行くことがあり、彼女も一緒に出かけていた。彼は常連客たちはカメラが好きなのではなく、ユキさんに興味があるのではないかと嫉妬もした。そういう彼の言葉をユキさんは笑って一蹴した。

「彼女は完璧に自立した人でした。僕はそんな彼女に置いていかれる不安を抱いていたから、彼女に固執した。恋愛だったらヒリヒリするような関係が続いたんでしょうが、結婚となると不全感が残りましたね」

 自分は必要とされていない。そんな思いが強くなっていったのだろう。お互いに頼り頼られるバランスがとれているほうがカップルはうまくいくのかもしれない。

今度のお相手は…

 それでも2度目の結婚生活は5年近く続いた。結婚というよりは「同居に過ぎなかった」と隼平さんは言う。この間、彼は「家では屍のように暮らしていた。彼女に嫌われたくなかったけど、そのうち自分は自分で生きていきたいと思うようになった」そうだ。

「ユキの店で知り合った、当時20歳の春佳と言葉を交わすようになり、親しくなっていきました。ユキの目の前で口説いたつもりはないけど、ユキは不快そうだった。それは当然ですよね。僕も心のどこかでユキに見せつけてやりたいと思っていたのかもしれない。傷つけ合うのは嫌だったけど……」

 40歳でユキさんと離婚。不倫からの離婚が2度目とあって、友人知人からの評判は悪かった。仕事も忙しかったので、しばらくひとりでいようと思ったが、そんなときにコロナ禍が起こった。派遣社員だった春佳さんは仕事を失ったと連絡を寄越した。

「それがきっかけで、春佳との関係が深まり、2年前に結婚しました。甘えん坊だけど素直でいい子だと思っていましたが、結婚してわかったのは、超わがままだったこと。婚姻届を出したとたん、『私、家事嫌いなの』って。仕事を探すと言いながらほとんど何もしてない。だったら家事くらいしてくれてもいいのに、『嫌いなんだからしょうがない。ひとり暮らしならあなた、自分でやるんでしょ』と掃除も洗濯も料理もしない。それはないよなあというのが今の感想です(笑)」

 家計も考えずにブランドもののバッグなどを買ってしまう妻。このままだと彼自身、経済的に困窮していくのが目に見えている。だが20歳年下の子どものような妻に、働くことを強要もできない。考えてみれば彼の娘は18歳なのだ。

「娘と妻が7歳しか違わないってね……。何をやってるんだろうなオレとは思いますね。さすがに娘に、春佳を紹介できずにいます。僕の場合は、どんどん結婚とは何かがわからなくなっていったんですが、知人で3度目の結婚をしている女性がいるんです。彼女は『そのときどきで自分に合う、自分に必要な関係を選択できている。結婚は何度もすべき』と言うんですよ。僕は自分に必要な相手、必要な関係を築くという観点がなかった」

 3度目もおそらく破綻するだろうと彼は言う。今度こそひとりでしばらく生活してみたい、そこから後半生を始めなければと考えているようだ。

前編【3人目の若妻はわがまま、家庭生活も満足していない… 不倫・再婚を繰り返す45歳夫を育んだ複雑な家庭環境】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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