娘に紹介できない女性と3回目の結婚…愛情を結婚という形にしているのに、とにかくうまくいかない45歳男性の女性遍歴

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前編【3人目の若妻はわがまま、家庭生活も満足していない… 不倫・再婚を繰り返す45歳夫を育んだ複雑な家庭環境】からのつづき

 松川隼平さん(45歳・仮名=以下同)は、不倫して離婚、再婚を繰り返し、現在3度目の結婚生活を送っている。それでも結婚生活に満足できずにいるというその原点には、両親もまた、彼に似た恋愛模様をおくって来たことがあるようだ。最初の結婚は27歳の時、社内で出会った同い年の祐子さん。娘に恵まれたものの、隼平さんは“常識的な妻”にやがて耐えられなくなり、いきつけのバーで働くユキさんに惹かれていった。

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 隼平さんはユキさんと関係をもち、どんどん彼女にはまっていった。ユキさんは、「なかなか理解できない人」だった。だからこそ彼は夢中になっていったのだろう。

「たとえば彼女に、もっと一緒にいたいと言うとする。それは愛の言葉として『私も』とかなんとか受け流すのが一般的だと思うんですが、彼女は『もっと一緒にいるためにどうしたらいいか考えてよ、私も考えるから』と言うタイプ。言葉を雰囲気でとらえない。だから彼女に対して何か言うときは、正直に真実を言わないといけないと思っていました。そういう緊張感も含めて、彼女と少しずつわかりあっていく喜びがあった」

 ユキさんは彼が既婚であることをまったく気にしていなかった。結婚してほしいと言われたこともない。先のことより「今日をどう過ごすかしか興味がない」という彼女は、隼平さんにとっても、都合のいい相手だったのだ。

 半年ほどたったころ、家に戻ると妻がいなかった。もう一緒には暮らせないと置き手紙を残して。ユキさんとの関係がバレたのだと隼平さんは感じた。いきなりいなくなるのは妻らしいとも思った。

「浮気してるんでしょと責められたほうが気楽ですよね。でも妻はそういうタイプではない。その後、話し合ったら、祐子は浮気のことをいっさい言わないんです。あなたにはずっと我慢してきたという。夕飯を食べ終わったとき僕がお皿をキッチンに運ばないこと、バスルームの蛇口がいつもシャワー状態で閉めるから彼女が蛇口をひねるとシャワーが降り注いでくること、トイレの便座が上がったままになっていることなどが耐えられないと。いや、そうじゃないだろと言ったけど、妻はプライドが邪魔しているのか、自分が夫に幻滅したというふうにしたかったみたい」

「ごねて関係がこじれるよりはまし」

 顧みれば、日々成長する娘には関心があったが、妻への関心は失っていたと彼は気づいた。妻は常識そのものであると考えていた彼にとって、“常識”との家庭生活は退屈だったのだ。

「たとえば妻も知っている会社の話をしたとするでしょ。こういう仕事の進め方を進言してみようと思ってるなんて漏らそうものなら、『あなたの立場でそれはやり過ぎでしょ。目立つと損する』と言うわけです。それは確かに世間の常識かもしれないけど、そうやって言いたいことを言わずにいることで、組織は腐っていくんだよと言うと、彼女は唇を噛んで黙ってしまう。そういうことが重なると、仕事のことや自分自身が考えていることを伝えてもしかたないなと思う。会話はもっぱら娘のことだけでしたね」

 もっと話し合いたかったが、妻は離婚を決めているようだった。そんな簡単に別れるのかと彼は思ったが、ごねて関係がこじれるよりはましだとも感じた。

「それが最初の離婚。32歳だったかな。娘の親権は妻がもちましたが、ふたりは妻の実家にいましたから僕はいつでも娘には会えた。でもある日突然、妻は再婚してしまったんです。聞いてないよと思いました。しかも娘は実家で義両親が育てることになったようです。これには僕が憤慨しましたね。そんなことなら早く言ってほしかった」

 自分が育てることも考えたが、かえって娘に寂しい思いをさせてしまう。だったら近くで義両親が育ててくれ、頻繁に会いに行ったほうがいい。彼はそう結論を出した。ちなみに娘は現在18歳の大学生。「芸術関係の研究をしたいようですね。なかなかの変わり者ですが、人としておもしろい。自由に育ててくれた元・義両親には感謝しかありません」と彼は真顔で言った。

次ページ:今度は「自分は必要とされていない」感が強くなり…

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