「丸亀製麺」世界ナンバーワン店をプロデュースしたプロが提言 「令和を生き残るスキルは『相談力』」

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相談してはいけない相手

 ここまでは、相談することのメリットを書いてきました。でも、世の中には相談相手に選ばないほうがいい人もいる。これは反面教師として、相談を受ける際に気を付けるためにも紹介しておきましょう。

 まず、ダメなタイプの一つは「こちらの話をまったく聞かない人」。これ、結構いますよね。豊富な知見や経験はあるのだけど、自身の成功体験ばかり自慢するタイプ。こういう人はあなたと話題を共有していません。共有がなければ、次の行動にもつながりません。

 もう一つ、NGなのは、「愚痴が多い人」。彼らは文句を言いたいだけで課題を解決してあげたいとは思っていない。単にすっきりしたいだけです。

 そして、「他人の言葉で語る人」。こんな言い方をする人は要注意です。「若くして上場したA社のBさんに、Cをしたらいいと教えてもらったことがある。だから、あなたもそうするといいよ」――。何一つ自分のことを語っていませんね。他人の言葉の受け売りは単なる「伝聞」でしかありません。早々に話を切り上げましょう。

「相談される人」はどんな人?

 最後になりますが、「相談される力」についてお話ししたいと思います。

 お伝えしてきたように、私は、事業やプロジェクトを動かす際、必ず一人で抱え込まず、仲間に相談します。一方で最近は、それと同じぐらい相談を受けることも多くなってきました。つくづく思うのは、「相談される」ことは相談する以上に自分のためになるということ。それは、相手から相談されることで自分自身が知らなかった情報が得られるから。社会で起きていることの知識が常にアップデートされるのです。では「相談される人」とは、どんな人なのでしょうか。

 私自身のことを言うと、何かの相談を受けたら1回目は特に時間をかけて丁寧に話を聞くようにしています。相手の立場や実績は関係ありません。そして相手に対する興味・関心を欠かさない。それがコミュニケーションの源だからです。そこから「どんな理由でこの人はその取り組みをやろうとしているのか?」、「困っている原因は?」といった背景を確認する。これはしつこいぐらい聞く。「腹落ち」してもらえる回答を探すためです。腹落ちがあるから次の行動につながるし、コミュニケーションも続けられる。やがて、相手が「この人は自分のことを理解してくれている」と思うようになってくれたらしめたもの。それが「相談される人」になる近道です。

 考えてみれば、相談とは人間だけが持っている特権です。良い相談をしてあげれば誰かの成功体験へとつながり、また相談となって誰かへと受け継がれます。私も、相談するだけではなく、「相談したい相手」になりたいといつも思っています。

山中哲男(やまなかてつお)
事業開発専門家。1982年兵庫県生まれ。新規事業開発支援、既存事業の戦略立案を支援する「トイトマ」代表取締役。NECキャピタルソリューションとともに「クラフィット」を設立し代表取締役。吉本興業アドバイザー、「大阪・関西万博2025」事業化支援プロジェクトチームサブリーダー。著書に「相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル」(海士の風)。

週刊新潮 2024年4月25日号掲載

特集「『丸亀製麺』世界No.1店をプロデュースした事業開発のプロが提言 『吉本・大崎元会長』も思わず相談 令和のビジネスで生き残るスキルは『相談力』」より

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