「丸亀製麺」世界ナンバーワン店をプロデュースしたプロが提言 「令和を生き残るスキルは『相談力』」
「予防相談」
例えば、相談はタイミングがとても重要です。
飲食店の例をまた持ち出して申し訳ありませんが、例えばあなたがお店をつくるとします。「ゆったり、くつろげる店にしたい」というコンセプトが浮かぶ。店を出したい場所も決まった。そこで、先輩や同業者に聞く。でも、それでは往々にして遅い。これは、私が身をもって体験したことです。では、いつならよいのか。結論から言うと、早いほうがいい。
そこで私が提案するのは「予防相談」です。これは私が作った造語で、いろんなことに応用できます。一般に相談は行き詰まったときにするものだと思いがちですが、例えば、
・時間がないと感じたとき。
・自分が知っている情報が古いかもと感じたとき。
・アイデアや考えられる選択肢が一つしかないと思ったとき。
こういう時こそ予防相談のタイミングです。最近は社会の変化が激しくなっているので、キャリアを重ねて社会での立場が上になっている人こそ予防相談が必要です。
丸亀製麺の話をすると、ハワイでは良い場所が空くと希望者が殺到するから、それから動くのでは遅い。予防相談を繰り返していたことで、もっとも良い場所に最良のタイミングで出店できました。
「対処相談」と「種まき相談」
二つ目の技術は「対処相談」。これは、途中で視点を変えるための相談です。例えば、議論で相手に反論され、ぐっと詰まってしまう。大体は悔しいものです。でも、ブチ切れてはいけません。これは対処相談の絶好のタイミング。すぐに別の誰かに聞いてみましょう。相手の意見に再反論できない原因の多くは、自分が考えたこともなかった「視点」を突き付けられたからです。逆に言えば、別の角度から物事を考えるチャンス。問題の解像度が高まって、次にやるべきことが見えてきます。
三つ目の技術は、偶然を生かすための「種まき相談」。たまたま出席した会食・会合で隣に座った人との会話から思いもよらないアドバイスを受けたことや、意外な人を紹介されたことはありますか。立ち入った話でなくてもいいのです。話が盛り上がったら、ちょっと気になっていることでも聞くのが「種まき相談」です。大事なことは、そこから本当の相談相手をつくるための布石を打つこと。チャンスがあれば「いつでも相談するぞ」、「相談を受けるぞ」というポーズを見せておくことが、次のコミュニケーションへとつながります。「予防相談」、「対処相談」、「種まき相談」。この三つを覚えておくだけで、世界がより広くなります。
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