「丸亀製麺」世界ナンバーワン店をプロデュースしたプロが提言 「令和を生き残るスキルは『相談力』」

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相手が答えたくなる聞き方

 偉そうにサクセスストーリーを並べているように聞こえるかもしれません。でも、本題はここからです。

 ご存じのように日本は超高齢社会に入っています。65歳以上の高齢者は全人口のほぼ3割に達し、孤立や社会との断絶は、深刻化しています。しかし、「相談」は、その壁を乗り越える最強のコミュニケーションツールです。これからの社会に必要なのは、「相談力」。それを仕事にしている私が言うのだから間違いありません。

 相談と聞くと、「年配者や目上の人が、若いもんに教えるもの」と考える方も多いでしょう。職場では若手の社員から相談される世代の方も多いはず。でも、定年退職すると、相談されることも、相談することも無くなってしまう。

 ですが、私から言わせるとこれは「教える」「教えられる」のタテの関係に慣れきっているからです。一方通行では年配者も学びがないし、気が付いたら「ええこと言わなあかん」と考えていませんか? タテの関係は遠慮が生まれるもの。私の考える「相談」には年齢差はありません。むしろ大事なのはヨコの関係です。質問ひとつでも、目上の人にお伺いを立てるのではなく相手が答えたくなるような聞き方をする。では、どうすればそういう聞き方になるでしょうか。

 私の答えは、相談内容に「誰のため」、「何のため」を明確に入れるということです。例えば、あなたが誰かから飲食店をつくりたいという相談を受けたとします。

「飲食店を始めたいんです。どうやったら繁盛店になりますか?」

「うちの従業員にやる気を出してもらえる飲食店をつくりたい。どうしたらいいと思いますか」

 この二つの、どちらに答えたくなるでしょう。私だったら2番目のほうが応援してあげたくなるので、親身になって答えたくなります。儲けることは大事ですが、その前に店をやる意義みたいなものがあるのとないのとでは、人からの共感が違います。そして、人は共感すると親身になれるものです。

相談の「ある種の技術」

 ヨコの関係がつくれるようになると話す相手は年上だけでなく、若い人も増えるようになります。実際、私が携わっている業界は金融や医療、飲食など10業種を超えていますが、相談する相手は10代から80代までさまざま。面白いことに、話す相手が違うと、見えてくる世界も違ってくるのです。

 私の場合、そうやって相談しあえる相手の一人が、吉本興業元会長の大崎洋さんです。私とは30歳近く年齢の離れた方で、ご縁は、吉本興業が10年以上取り組んできた地方創生事業(「地方住みます芸人」など)をステップアップさせたいと、依頼を受けたことから始まります。それを機に大崎さんとよく話すようになり、今ではお互いに気軽に相談しあえる関係ができていると思います。でも、相手は百戦錬磨の“話”のプロ。何となくフィーリングが合ったからというだけで、お付き合いできるようになったわけではありません。

 先に「相談にも聞き方がある」と述べましたが、別の言い方をすると、それはある種の技術です。技術なら習得すればいい。いくつかご紹介してゆきましょう。

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