「丸亀製麺」世界ナンバーワン店をプロデュースしたプロが提言 「令和を生き残るスキルは『相談力』」
帰国して2週間後にハワイで会社を設立
店が人気になっても私はじっとしていられない性格です。次に手がけたのは、飲食業界の海外進出サポートでした。いきなり海外?と思われるかもしれません。きっかけは、初の海外旅行で訪れたハワイです。
あまり知られていませんが、ハワイには「ジャパニーズプライス」というのがあります。価格交渉に慣れていない日本人にテナント料や内装費を高くふっかけてくるのです。現地でレストランをやりたがる方は結構いますが、ぶち当たるのがジャパニーズプライスです。これを知った私は、「自分の経験が生きる」と思い、帰国して2週間後にハワイを再訪問。現地で飲食業をサポートする会社を設立しました。
でも、当時は英語も話せないし、人脈もない。正直、数えきれないぐらいだまされました。ジャパニーズプライスどころか納期も守らない業者がほとんど。最初の頃は開店に間に合わせるために、必死で店のペンキ塗りばっかりやっていました。ただ私には変な自信がありました。居酒屋をつくったときのように、誰かに聞きまくる。片言でも誰かれなく話をしていると、少しずつ誰が信頼できるのかが分かってきます。「山中に頼んだら、ハワイではうまくいく」という評判も次第に頂くようになりました。
コンサルティングとは違う「相談業」
2009年、丸亀製麺(現・トリドールHD)の海外1号店となるハワイ・ワイキキ店の進出サポートの依頼が来ます。当時は大手チェーンでさえ、海外進出は手探り。私はどこより早く一等地を押さえ無事オープン。店の前の行列を見たお客様が「どんな店?」とやって来るようになり、同店はその後、丸亀製麺の全店舗の中で常に売り上げ世界1位をキープする繁盛店になりました。
現在、私は新規事業開発や既存事業の深掘りをハンズオン(自ら深く関与する意)で支援する「トイトマ」という会社を経営しています。居酒屋から始まり、海外進出のサポートを通じて自分に得意なことが「相談業」であると思ったからです。
相談業というとコンサルティングと間違われそうですが、ちょっと違います。コンサルティングは、専門知識や経験を活用してクライアントに具体的な解決策を提供するもの。いうなれば「答え」を示してあげる仕事です。一方、相談は、話のキャッチボールをしながら選択肢を広げてゆく。よく「ネクストアクション」という言葉を使うのですが、大事なのは次の行動を考えたり、視野を広げるためのきっかけをつくってあげることです。その結果、これまで淡路島では過疎化が進んでいた西海岸のエリア開発に携わり、年間40万人が訪れる人気スポットをつくりました。また、経済産業省・特許庁の有識者委員、国土交通省公的不動産活用アドバイザーも務めさせてもらっています。
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