ヤフオクで「レンタルビデオ店」丸ごと出品のウラにあった“意外な背景” 気になる「落札者」が明かす“購入理由”とは

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30万円の“大人ガチャ”

 一方、気になるのは落札者の素顔。いったいどんな人物が、なんのために――?

 店舗在庫のほとんどが“大人向け”だったこともあり、恐る恐る、出品者を通じて連絡を取ると、意外なことに、「実名、顔出しOK」で取材に応じてくれた。

 都内在住の近藤さんは、ソフトウェア会社に勤める59歳。いわゆる「映像オタク」で、サブスクなどでは見ることのできない、過去の映像作品をコレクションするのが趣味だという。

「私が出品を知ったのも例のXの投稿です。ヤフオク歴20年ぐらいになりますが、こういう形での出品はなかなかありません。3300本の“大人ガチャ”を引けるなら面白そうだと、参戦を決めました」(近藤さん)

 落札の動機は転売益ではなく、純然たるオタク魂からくるもので、運悪くお宝作品が1本も出なかったとしても、それは覚悟の上なのだそう。それにしても、費用はいくらかかるのか。

「入札額が6万6000円、現地へは格安航空券を使って往復2万円、宿泊費が2泊2万円、車がないので商品は段ボールに梱包してヤマトで送ります。それにざっと8万円かかる計算で、箱詰めには便利屋さんのスタッフにも手伝ってもらって……。もろもろ合わせると30万円ぐらいになると見積もっています」(同)

「丸ごと出品」はこれから増える?

 近藤さんの試算では、全商品に使う段ボールの数は全部で70箱。それを両親が使っていた北関東の実家に送り、実際に“ガチャ”に取り掛かるのは5月の連休中という壮大な計画だ。

 ところで、こんな大作戦を決行したからには、その道ではかなり手練れの“紳士”なのではないか。念のため聞いてみると……、

「そういう直接的な喜びを求めてというよりかは、アニメとかB級映画も含め、今は見られなくなった作品に再会できるかも知れない、というノスタルジーに対してお金を払っている感覚です」(同)

 なおも、特に思い入れの強い“役者さん”がいないかと食い下がったところ、

「学生の頃、初めて買った大人向けビデオに出演していたのが、“泉じゅん”なんです。ないとは思いますけど、もし今は見ることができない泉じゅんの作品が出てきたら、ひゃっほー! と声を上げてしまうかも知れません」(同)

 そう明かし、少年のようにキラキラした笑顔を見せるのだった。

 大嶋さんが言うには、地方では過疎化の進行もあり、コレクターや個人商店の店主が亡くなって、行き場を無くしたお宝が取り残されている、という事例が少なくないのだそう。

「丸ごと出品」はこれからもっと増えていくのかも知れない。

デイリー新潮編集部

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