ヤフオクで「レンタルビデオ店」丸ごと出品のウラにあった“意外な背景” 気になる「落札者」が明かす“購入理由”とは
10年前から閉店したままの事情
とはいえ、なぜこんな前代未聞のオークションが行われたのか。まずは“お店丸ごと出品”に至った経緯を整理していこう。
快く取材に応じてくれたのは、出品者ご本人の大嶋さん。大手製薬会社に勤める40代の男性だ。
「実は、私はビデオショップとは全く関係なく、代理出品しただけなんです。営業という仕事柄、松山市内のあちこちを移動するのですが、たまたま、行きつけの喫茶店の従業員さんから相談を受けたのがきっかけでした」(大嶋さん)
大嶋さんに相談を持ち掛けたのは、40代の女性だ。レンタルビデオ店の店主だったご主人が5年前に他界。ビデオ店はご主人の体調の問題もあり、10年以上も閉めたままになっていた。
夫に先立たれあと、娘や息子のためにビデオ店だったスペースを賃貸に出し、生活の足しにできればと考えたが、なかなか話が進まない事情があった。
「実はその方は欧州出身で、会話は不便なくできるものの、日本語の読み書きが苦手なんです。そのため店内を片付ける手続きや、それをどこを頼ればいいのかが分からず途方に暮れていたそうです」(大嶋さん)
店内在庫の多くが“大人向け”だったことも、女性の片づけ意欲を削ぐ要因だったそうだ。
「私はツーリングが趣味でして、以前にも閉店したバイク店のご家族に相談され、ヤフオクを使って在庫一掃セールをやったことがあります。その時は全部で200台ぐらい出品しました。その経験があったので、今回も同じ手が使えるかも知れないと閃いたのです」(同)
売上金はすべて、生活の足しになるよう、その女性に渡したのだそう。つまり、完全なるボランティア出品だったということになる。
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