メッツかフィリーズか…トラウト移籍にいよいよ現実味、エンゼルスがいま考えていること

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エンゼルスの黄金期

 一方のエンゼルスは1961年に誕生した比較的新しいチームだ。80年代に2度の地区優勝を成し遂げたものの、強豪チームというイメージはなかった。

 ところが2000年、新監督としてマイク・ソーシア氏が就任。ソーシア氏はドジャース一筋のキャッチャーで、引退後はドジャースのコーチやマイナーチームの監督を歴任した。

「ソーシア氏はドジャース流のスモールベースボールを、エンゼルスに植え付けたのです。その結果、スター選手が不在だったにもかかわらず、チームは躍進。2002年にはプレーオフ進出を果たすとリーグ優勝も成し遂げ、その勢いのままワールドシリーズでジャイアンツを下しました。今、日本のメディアは『エンゼルスよりドジャースのほうが人気』と報じています。それは事実ではありますが、2000年代のエンゼルスはドジャースよりも輝いていたことは強調しておきたいと思います」(同・友成氏)

 ところがドジャース流のスモールベースボールで躍進を果たしたにもかかわらず、2003年に就任した新オーナーのアルトゥーロ・モレノ氏はスター主義に方針を転換してしまう。次々と大物選手を高額契約で獲得し、長打率を重視するビッグボール志向を鮮明にした。

「これが失敗し、次第にエンゼルスの成績は低迷していきます。トラウトの初出場は2011年7月で、この時のチームはすでに2000年代の輝きを失っていました。しかしトラウトの打撃成績は素晴らしく、彼はMLB屈指のスター選手に成長します。ただし2021年、22年、23年のシーズンはいずれもケガに泣かされ、充分な成績を残せませんでした。この頃からエンゼルスは、トラウトの放出を検討するようになったのです」(同・友成氏)

エンゼルスの再建策

 4月25日現在、トラウトは打率2割3分7厘、出塁率3割2分1厘、本塁打10本、盗塁5と好調を維持している。エンゼルスにとっては久しぶりの朗報だ。

 これだけ活躍しているにもかかわらず、トレード話が報じられるというのは、少なくとも日本の野球ファンには理解しにくい。おまけにトラウトとエンゼルスの契約は2030年まで結ばれている。もし契約の途中でトレードに出されると、移籍先での年俸の一部を負担するというルールがあるという。

「たとえ今季のトラウトが好調を維持していても、また、他チームに移籍すると年俸の一部を負担する必要があるにしても、とにかくエンゼルスはトラウトの放出を考えているのは間違いありません。なぜならMLBにおけるチーム再建は、ベテランの有名選手や高額年俸のスター選手は他球団に移ってもらい、若手中心のチームに作り替えるのがセオリーだからです。今年からエンゼルスの指揮はロン・ワシントン監督が執ることになりました。これは『新監督が若手中心のチームを指揮し、何より育成に力を入れる』という再建策がすでにスタートしていることを意味します」(同・友成氏)

 とはいっても、トラウトの意向を無視するわけにもいかない。一部の報道によると、エンゼルスとトラウトの契約には「トレード拒否権」の条項が含まれているという。

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