「コロナをきっかけに50代で落語家に」 元日テレアナ・藪本雅子が語る「社会人落語デビュー」

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「電話しているフリをしながら、ボソボソ喋って…」

 ところで藪本は、90年代に2人の同僚アナとともに歌手ユニット「DORA」の一員として活躍した。後のアイドルアナブームの火付け役の一人だが、現役時代に培った明朗な発声や滑舌の良さは落語家としてプラスでは?

「聞き取りやすいかもしれませんが、あまり関係はないですね。局アナには原稿があるので暗記は必要ありません。落語には標準語とは違う江戸弁も出てきます。何より、人を笑わせるというのが難しい。局アナ時代はバラエティー番組に引っ張り出されて、笑われることも多かったですが……」

 今月14日に東京・両国のビールバーで、プロが共演する寄席に出演したばかり。

「恐れ多くも前座を務めさせていただきました。会場の空気を温めるという重要な役目で緊張します。夏日とあって、冷たいビールを手にしたお客さま方は笑う気満々。披露した『動物園』で盛り上がりました」

 普段の練習は街中という。

「ハンズフリーで電話しているふうを装い、ボソボソ喋りながら歩いています。日中のカラオケ店も集中できるし数百円でお得ですよ」

 高座の前は「泣きそうになりながら覚えている」と言い残し、和服姿で“稽古場”に向かう姿はまさしく噺家・音羽亭左京であった。

週刊新潮 2024年4月25日号掲載

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