藤井八冠が名人戦連勝 豊島九段の「懐かしの戦法」に師匠は「新たな工夫を加えている」

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「教えた記憶もあんまりない」

 ひねり飛車の名手・桐山九段に電話で話を伺った。

「もちろん、『ひねり飛車を使いたいのですが』などと豊島君から相談を受けたわけでもありません。ひねり飛車は中盤にいる飛車がどうしても狙われやすいリスクがあります。豊島君が子供の頃に、特にこの戦法を教えた記憶もあんまりないんですよ」

「今回の名人戦でこの古い戦法が復活したようですけど、昔の戦法のままではなく本人が新たな工夫を加えて研究して臨んでいましたね。今回、ひねり飛車を採用したことが悪くて豊島君が負けたわけでは決してありません。ずっと(中継を)見ていましたが、最後まで形勢が両者に振れる非常に難しい将棋でした。次に期待したいと思います」

 5月8、9日の両日、羽田空港第1ターミナル(東京都大田区)で行われる第3局で豊島は後手番になる。まずは一矢報いることに期待したい。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「『サハリンに残されて」』(三一書房)、「『警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」』(ワック)、「『検察に、殺される」』(ベスト新書)、「『ルポ 原発難民」』(潮出版社)、「『アスベスト禍」』(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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