長谷川博己「アンチヒーロー」 好スタートのウラに綿密なキャラ作り

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

セリフが多くても、違和感なし

 そして16年、主演を務めた日本版ゴジラシリーズの「シン・ゴジラ」が興行収入82.5億円のヒット作に。同作は数々の映画賞に輝き、長谷川は第40回日本アカデミー賞・優秀主演賞を受賞したが、同作で自分の演技スタイルを確立する。

 長谷川が演じたのは衆議院議員で、内閣官房副長官(政務担当)の矢口蘭堂。ゴジラによって日本が危機に見舞われるものの、常に冷静沈着で、感情を表に出さないという役どころだった。

「総監督の庵野秀明氏が脚本も手掛けましたが、この作品は莫大なセリフ量で、まともに読んでいては4時間ほどの超大作になってしまう。そこで、かなり早口でセリフを読むことにより、上映時間を約2時間にとどめたそうです。矢口は政治用語や専門家から上がってくる科学的な専門用語をほぼ無感情で、スルスルと読み上げました。ほかの役者さんにはマネできない演技ですが、これが長谷川さんの魅力であり持ち味。『アンチヒーロー』でもほかのキャストとは比べものにならないセリフ量です」(同)

 今や一級の主演俳優になった長谷川だが、やはり「アンチヒーロー」で演じているキャラクターを見ると、見事にハマっている印象で、役者人生の代表作になりそうな予感すらある。

「これまでの法廷ドラマといえば、依頼人のために奮闘する弁護士が主人公になるケースが多い。しかし、依頼人が完全にクロなのにシロにしてしまう弁護士が主人公とは、かなり攻めています。弁護士界の『アンチヒーロー』というか『ダークヒーロー』でもある。それなのに、長いセリフを話す場面を見て、古畑任三郎を演じた田村正和に似ているという視聴者の声もあるそうです。脚本家4人でストーリーを毎回、練りに練っているそうなので、今後も仰天の法廷劇が繰り広げられるでしょう」(先の記者)

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。