藤井聡太八冠が伊藤匠七段に敗れる 「やってみたらどうかな」と挑んだ新戦法とは

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期待したい棋士たちの「独自戦法」

 藤井は「3三金型の薄さが出るような展開になり、失敗しているかなと思っていた」と打ち明けた。今回は勝利への執念を探求心が上回ったのかもしれない。

 予想外の「サザーン金」の変化球を投じたが打たれた。研究期間もなく、今シリーズでこの変化球は使わないだろうが、藤井は一度負けたくらいであっさりと新戦法を諦める男ではないだろう。いつの日か磨き上げた「打たれない変化球」を披露してくるはずだ。

 AI(人工知能)研究の影響か、特に序盤は「最大公約数的」な駒組も多くなった印象だが、棋士が思い切り個性を出す人間ならではの「あれっ」と驚かせる将棋に期待したい。

 第3局は、5月2日に愛知県の「名古屋東急ホテル」で行われる。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「『サハリンに残されて」』(三一書房)、「『警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」』(ワック)、「『検察に、殺される」』(ベスト新書)、「『ルポ 原発難民」』(潮出版社)、「『アスベスト禍」』(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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